ハービンダー=カーシリーズの3冊目。
本作でカーは、サセックス警察の部長刑事から、
ロンドン警視庁の警部と昇級している。
それにともない、これまで両親との同居だったのが、
女性3人でフラットをシェアしてくらすようになった。
ややこしいストーリーだし、酒をのみながらの読書なので、
なんどもまえのページをふりかえってながれを確認する。
その手間もまたたのしく、2年ぶりのシリーズを堪能する。
警部になったハービンダーは、ツボをおさえながら、
ますます小気味よく捜査をすすめていく。
ラストはみごとな大団円で、
前作の仲間がなつかしい顔をみせてくれる。
現在形でおしとおし、リズムのある文体がここちよい。
現在形ならではの臨場感が効果的につかわれている。
上條ひろみさんの訳がすばらしく、
文章の微妙なおかしさをうまくつたえてくれる。
部屋もスタイリッシュで、鮮やかな色にあふれ、ネオンサインやスポットライトを当てた流木といった、ぎょっとするようなアートがかざられている。これは精神を病んだ人がためこんだものというわけではなく、アートなのだろうということぐらいはわかる。
グリフィスの作品って、まえからこんなに現在形がおおかったっけ、
と、前作の『窓辺の愛書家』をひっぱりだす。
部長刑事時代のハービンダーは、立場にまだ責任がすくないせいか、
発言にまじる皮肉がかるく、それだけわかさをかんじる。
ドタバタのたのしさが前作にはあるけど、
だからといって3冊目の『小路の奥の死』が退屈なわけではない。
警部になったハーダンビーの続編を、これからもよみつづけたい。

