2011年10月08日

『警察署長』(スチュアート=ウッズ)

『警察署長』(スチュアート=ウッズ・ハヤカワ文庫)をよみおえる。
1919年から1963年にかけてのものがたりであり、
アメリカ南部のジョージア州にある
架空のちいさないなか町デラノが舞台だ。
40数年のあいだに3人が警察署長をつとめており、
南部だからか、おおくの出来事が人種差別と関係している。
ひとつひとつの章はみじかく、
テンポよくものがたりがすすみ、
それにつれて時代もすこしずつうつりかわっていく。
しかし黒人への偏見は根本のところでかわらない。
胸がふさがれるような差別に
人生をだいなしにされる(されそうになる)ひとたち。
本をよむというたのしさはあじあわせてくれたものの、
人種差別のひどさから、
ページをめくるのに気がすすまない箇所がいくつもあった。
小説だから、事実をそのままあらわしているわけではない、
とかんたんにかたづけられるものではないだろう。
おおくの黒人がこの本にあるような
くるしもとかなしみにふりまわされたのだ。
この本は、人種差別への偏見をかえるちからになったのだろうか。


posted by カルピス at 22:42 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする