はじめて「自炊」をする。
とりこんだのは『英語リスニングのお医者さん』という本だ。
もっているスキャナーは、自炊用ではないので、
いちいちページをめくって台にのせなければならない。
それでも1分で5回、157pのこの本を
30分ほどでとりこむことができた。
この本は図書館でかりたもので、
それを自炊することが合法なのかどうなのか確認していない。
これで商売をするわけではないので、
ふつうのコピーとおなじとみなしてもらえたらいいけど。
1冊100円で自炊を代行するサービスもあるそうで、
それぐらいなら手もちの本を電子書籍化して
キンドルやリーダーなどでみられるようにすると便利そうだ。
すきな作家のお気にいりの本を全部自炊してもらったら、
ファンにとって価値のあるデバイスとなりえる。
まえは、たとえば村上春樹の全作品がはいったキンドルがあれば、
多少たかくてもかうのに、とおもっていたけど、
それを自分でつくれば(つくってもらえば)いいわけだ。
また、ふるい本はインクがうすれてよみにくくなるし、
活字のちいさな本は老眼にはありがたくない存在だ。
それらを電子書籍化すればまったく問題はなくなる。
愛着のある本を断裁にかけるのに抵抗がある場合は、
ブックオフやアマゾンであつかっている古本を利用して
かいなおせばいい。
本と電子書籍の両方をもてば、
いったい自分にとってどちらがつかいやすいかを
身をもって体験することができる。
外国ではキンドルがかなり普及しているのに、
日本では出版社や家電メーカーが
それぞれのやり方で電子書籍の市場をつくろうとしており、
利用者にとっては魅力のある品ぞろえとなっていない。
自炊を禁止するよう出版社がうったえたとき、
自炊の専門会社は反対にひらきなおり、
じゅうぶんな品ぞろえのない市場を批判していた。
いつまでもこのままの本棚なら、
自炊への顧客のニーズはなくならない、という主張だ。
もっともな理屈である。
わたしがキンドルやリーダーといったデバイスをかわないのも
それだけ魅力のある本棚がないからにほかならない。
このまえ2週間ほどの海外旅行をしたとき、
10冊ほどの本をもっていったので、
ずいぶんとおもたいカバンになってしまった。
電子書籍市場にたよらずに、
自炊して旅行用の本をそろえれば
かなり身がるな旅行となる。
このつぎに外国へいくまでに、
電子書籍をめぐる状況がどうかわっていくかたのしみだ。