「午前10時の映画祭」で『スタンド・バイ・ミー』をみる。
土曜日のせいか、作品の人気のせいか、
これまででお客さんがいちばんおおかった
(といっても40人ぐらい)。
めずらしくチケットうりばに列ができている。
その半分ぐらいが『スタンド・バイ・ミー』
めあてのお客さんで、
10時からの開演にギリギリで間にあった。
なんどもみてるけど、
映画館ではたしかはじめてだ。
子どもでも大人でもないむつかしい少年期。
これから自分はどう生きていくのかに
それぞれがなやんでいる。
家がわるいとおちこぼれの烙印をおされてしまい、
12歳というはやい段階で将来がきまってしまう。
親とおなじように一生この田舎町で
うだつのあがらぬまま生きるのかというのは
さぞかしやりきれないことだろう。
クリスのヒリヒリした、
それでいてさみしそうな表情が
この映画の主題である少年期という
微妙にアンバランスな時期を
的確にあらわしている。
内気そうだけど芯のつよいゴーディ、
いかれたテディもだいすきなキャラだ。
「ぼくは一生この町にいるのかな?」
とかなしそうにたずねるクリスに
「なんだってできるよ」
とゴーディがこたえる。
なんで子どもがこんなかなしいおもいを
しなきゃいけないんだ、といかりながら、
2日間のできごとのあと、
すこし大人になった彼らでなければいえない
いちばんすきなシーンとなっている。
スティーブン=キングの原作もよんだことがある。
映画もいいけど原作もいい、
というのはもちろん逆で、
原作の雰囲気をほんとうにそのまま
じょうずに映画化してある。
ベン=E=キングの歌声が
しばらく耳からはなれない。
12歳って、にどとおとずれない
貴重なときだったんだ。
クリスはどんな大人になったのだろう。
余談ながら、
わたしのだいすきな映画『グッバイガール』で
エリオット役をしたリチャード=ドレイファスが
大人になったゴーディをえんじている。
『グッバイガール』のエリオットと
ぜんぜんにてないので、
エンディングで名前をみるたびに
「そういえば・・・」とおどろくことになる。