午前10時の映画祭で『薔薇の名前』をみる。
予告編がおもしろそうだったのでみることにしたのに、
本編はそれほどでもなかった。
おもしろくなかったのなら、
わざわざかかなくてもいいようなものだけど、
ひとつの感想だから、ま、いいか、ということで。
北イタリアにある修道院が舞台だ。時代の設定は1327年。
アンコール遺跡がすでにできていた時代か、
ということがなんとなく頭にうかぶ。
熱帯にあるアンコール遺跡とちがい、
設定が冬ということもあって、
修道院とそのまわりの風景はみごとにさむざむしい。
この時代の修道院についてまったく知識がなく、
というか、ヨーロッパ中世というジャンルが
もともとすきではない。
中世は、宗派の対立や異端者への圧制が横行している
暗黒の時代のようにみえる。
まずしさについてどうとらえるか、とか
わらいをみとめると、キリスト教がだめになる、とか
そんなことを真剣に討議する。
いったん確立された権威からはずれると、
とたんに「異端」とよばれ処刑されてしまうから、
こんなときに生まれなくてよかったとほんとにおもう。
村の少女が修道院にはいりこみ、
準主役の修行僧をさそうのだけど、
まったく唐突にでてくる場面であり、
さいごまでその意味をはかりかねた。
犯罪にまきこまれた少女の身を、
その修行僧はずっと心配しているふうなのに、
ラストシーンでは、少女をみすてて修道院をはなれてしまう。
修行僧なのだからしかたのないこととはいえ、
のこされた少女の身にしたら、
なんだったんだあのひとは、というかんじだ。
この修行僧をえんじているのが
クリスチャン=スレーターで、
彼の出演作品をみていたら、
わたしがだいすきな作品
『トゥルー・ロマンス』の主役だったことをしる。
そういえば、ちょっとかわった笑顔にみおぼえがある。
少女役のヴァレンティナ=ヴァルガスのほうは
『グラン・ブルー』にもでているそうだけど、
どんな役だったかぜんぜんおもいだせない。
主演のショーン=コネリーは、
うまいといえばうまいけど、
レビューで絶賛されているほどには感心しなかった。
時代背景について正確な知識があれば、
またちがったみかたができた作品かもしれない。