2012年01月22日

再読『ウェブ時代をゆく』(梅田望夫・ちくま新書) 「好きを貫く」ことと「飯を食う」こと

きのうのブログにかいたように、
この本は『ウェブ進化論』の続編にして完結編である。
帯にかいてあるのは「では明日からどうしたらいいの?」
『ウェブ進化論』でインターネットによる革命的な変化をしらされ、
あたまにうかぶのは、ほんとにこの「ではどうしたらいいの?」だ。
本書では、「好きを貫く」「飯を食う」ことがくりかえし強調されている。

そして、そのために大切なことは
「突き詰めて言えばそれは
戦略性と勤勉さということに行き着く」と梅田さんはいう。

「『好き』なことの組み合わせを見つけたら
面倒なことでも延々と続ける勤勉さと、
それを面倒くさがらない持続力がカギを握る」

どんなところでも才能だけではだめで、
コツコツと努力することがもとめられるのが
意外というかおもしろい。
一発逆転はなく、すこしずつつみあげていくしかないのだ。
「好きを貫く」ことはけして簡単なことではないので、
本書では、そのことと「飯を食う」ことを
両立させていくための技術がかかれている。

梅田さんが自分の「好き」をかんがえたとき、
少年時代から私立探偵がすきだったことをおもいだしたのだそうだ。
そして、ホームズのなにに自分はそんなにひかれるのかを
つきつめてかんがえてみると、

「その結果見えてきた自分の指向性とは、
『ある専門性が人から頼りにされていて、
人からの依頼で何かが始まり急に忙しくなるが、
依頼がないときは徹底的に暇であること』だった」

というのがおもしろい。
梅田さんというとウェブ世界にくわしい
「きれもの」という印象があるのに、
もともとの指向性はあんがい子どもじみたものだったといえる。
ただ、その「好き」を「飯を食う」ことまでつらぬいたのは
「戦略性と勤勉さ」だったことがこの本をよんでみるとわかる。
ウェブ世界はあんがいだれもに平等にひらかれていて、
大切なことはほかの世界とおなじように「勤勉さ」であったり
「努力」であったりするふつうの世界かもしれない。

終章の題は「ウェブは自ら助くる者を助く」となっている。
なんだか、だいじなことって、どこでもあんまりかわらないみたいだ。

posted by カルピス at 23:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする