2002年にベラルーシをたずねた記録映画だ。
放射能汚染地域では、「チェルノブイリ・ハート」とよばれる
心臓に先天的な障害をもって生まれる子どもたちがふえている。
放射能によって遺伝子がきずつけられ、
脳や内蔵がからだからとびだした状態で生まれた子どもたちもおおい。
1986年の4月におきたチェルノブイリ原発の事故は
いまも、これからも、おおくのひとびと
(とくに子どもたち)に影響をあたえている。
そうした事実をしりながら、
日本でまた原発を再稼働させようとするひとたちがいる。
わたしには、なぜそんなことができるのか、
まったく理解できない。
ただ、この作品は
記録映画として事実をつたえるだけでじゅうぶんなのに
制作者側のかんがえを観客におしつけている。
前後のテロップでメッセージをつよくうちだしたり、
映像のなかでも施設のスタッフにたいして
情緒的な非難をあびせている場面がある。
残酷な現実にたいし、
いかりやかなしみをかんじるのは
とうぜんの反応とはいえ、
それを制作者がかたってしまっては
ドキュメンタリーとしてのちからがよわくなる。
事実をつたえることのむつかしさをかんじる作品だった。