いいお天気のなかを、
生活介護からさいごの花見にでかける。
さいご、というのはこっちの都合であり、
じっさいはもうほとんどの花がちり、
葉桜にちかい。
出店もめっきりすくなくなっているし、
お天気にもかかわらず店をとじているテントもあった。
陽がさしているけど風はつめたい。
春らしいさわやかな気候だ。
こんな日にのんびりおもてを散歩していると、
仕事なんかしないで(してないようなものだけど)
どこかへ旅行にいきたくなる。
旅行、といっても、
具体的にどこにいってなにをやりたいかを
きめているわけではない。
あくまでもこういうお天気からイメージする自由な気もちのもちかただ。
すこしはだざむいような風をあびて
どこかちいさな町のおもてどおりをゆっくりとあるく。
つかれたらカフェにはいってビールを注文し、
お気にいりの文庫本をひらく。
それぐらいのことなら
ほんとはわざわざ旅行にでかけることもない。
いますんでいる町で、
やすみの日におなじことをすればいいのだ。
旅行さきでないとゆっくりできないというのは、
こちらのかってなおもいすごしでしかない。
いまをたのしく生きているひとは、
とっくのむかしに想像力をふくらませて
平凡な日常をとびきりの旅行先にかえて
近場での非日常をたのしんでいるのだろう。
パリやアテネの下町にでかけるための
移動の時間やお金も必要ない。
ながい旅行にはしばらくでかけられないので、
いったつもり、やったつもりの演出で、
このすごしやすい時期を旅行みたいにたのしみたい。