いやーすごかったわ。
『八日目の蝉』。
はじめてよむ角田光代の本。
よんでいるうちに、これはたいへんな本だということがわかってくる。
うちのめされた、なんてうすっぺらなことはいいたくないけど、
わたしの貧弱な語彙ではとてもいいあわらせられない。
魂のふかいところをかきこんでいるので、
よんだあとは、もうなんだっていいような気になってくる。
不倫相手の子を誘拐しようが、
家族の気もちがばらばらになってようが
すべてがたいしたことではない、みたいな。
たいしたことではない、とおもわせておいて、
あとでぜんぶ救済してしまうから角田光代はすごいのだけど。
魂、なんてもっともらしいことをいいながら、
希和子が薫をつれて逃亡するときにかんがえたのは、
わたしだったら4000万円をどうつかってにげるか、という俗なことだ。
希和子が新興宗教のグループに寄付してしまったことは
かえすがえすも残念だった。
わたしなら・・・、どうしただろう。
おなじ逃亡をあつかった本でも、
主演(助演?)の深津絵里にひかれてよんだ『悪人』よりずっとふかい。
これまで角田光代をよまなかったのはもったいなかった。
しばらく角田光代の本にひたっていこう。