2012年05月20日

『八日目の蝉』いまさならがら角田光代をはじめてよむ

いやーすごかったわ。
『八日目の蝉』。
はじめてよむ角田光代の本。
よんでいるうちに、これはたいへんな本だということがわかってくる。
うちのめされた、なんてうすっぺらなことはいいたくないけど、
わたしの貧弱な語彙ではとてもいいあわらせられない。

魂のふかいところをかきこんでいるので、
よんだあとは、もうなんだっていいような気になってくる。
不倫相手の子を誘拐しようが、
家族の気もちがばらばらになってようが
すべてがたいしたことではない、みたいな。
たいしたことではない、とおもわせておいて、
あとでぜんぶ救済してしまうから角田光代はすごいのだけど。

魂、なんてもっともらしいことをいいながら、
希和子が薫をつれて逃亡するときにかんがえたのは、
わたしだったら4000万円をどうつかってにげるか、という俗なことだ。
希和子が新興宗教のグループに寄付してしまったことは
かえすがえすも残念だった。
わたしなら・・・、どうしただろう。

おなじ逃亡をあつかった本でも、
主演(助演?)の深津絵里にひかれてよんだ『悪人』よりずっとふかい。
これまで角田光代をよまなかったのはもったいなかった。
しばらく角田光代の本にひたっていこう。

posted by カルピス at 21:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 角田光代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする