『本の雑誌』のバックナンバーをめくっていたら、
「角田光代はこの十冊を読め!」という企画が目にはいった。
このコーナーでは、毎月ひとりの作家をとりあげ、
その作家についててっとりばやく、しかもふかくしるのに
適切とおもわれる10冊がリストアップされる。
その号では、それがたまたま角田光代だったのだ。
角田光代の作品をよみすすんでいこうとするわたしにとって
ありがたい企画だ。
それによると、角田光代はこれまでに100冊以上の本をだしており、
たしかに「角田光代はこの10冊」という手びきが必要なくらい
多作な作家といえる。
この記事をかいた藤田香織さんは
当然かなりの角田光代ファンであり、
受賞作などをまじえてふつうにえらぶときの10冊を
「初級編」とよび、
今回の企画では、それらをよみおえた段階の読者むけに
「ほんとうの10冊」ともいうべき本をおしえてくれている。
わたしはまだ、初級編で3冊、その後篇(中級編)は1冊しかよんでおらず、
角田光代のふかい森をまよわずくぐりぬけるには、
このガイドがきっとやくにたってくれるだろう。
エッセイ集『しあわせのねだん』(新潮文庫)によると、
角田光代は毎朝7時半におきると牛乳をのみ、
そのまま仕事場にでかけて8時から仕事をはじめる。
週3回はジムにいってからだをきたえ、
ほかの日は午後5時まで仕事をするというから、
どんどん本ができあがるだろうし、
それをささえる体力も当分つづきそうだ。
かいていることが過激なわりには
サラリーマンみたいな生活リズムをまもっているところが
なんだか角田光代っぽい。
村上春樹にしても角田光代にしても、
たかいレベルをたもって本をかきつづけるためには、
むかしの文士ふうのみだれた生活ではなく、
からだをきたえながら単調なリズムにたえて
毎日まいにち原稿(パソコン)にむかうことが必要なのだろう。
おおげさではなく、すべての分野において
けっきょくは体力がものをいう。
「規則ただしい生活」と「定期的なトレーニング」については
わたしも実践できている。
あとは毎朝7時半におきて牛乳をのむだけだ。