2012年07月05日

『蒲田行進曲』かっこいいことは、かっこわるい

『蒲田行進曲』(1982年・深作欣二監督)

なんとなくみそびれて、というには30年はながすぎる。
気もちのどこかでさけていたのだろう。
深作作品への偏見か、平田満のショボさをきらったのか。

おもしろかった。
映画史にのこる傑作とはおもわないにしろ、
こうしたトホホ映画がわたしはだいすきだ。
小夏や銀ちゃんにつくすことで
ヤスは浄化される。
でもその一生懸命さは、
はたからみるとばかげたおこないでしかない。

なんといっても小夏を演じる松坂慶子がすごくきれいだ。
銀ちゃんにつくしていたころよりも、
ヤスの愛をうけいれ、これまでの生活では
手にしたことがなかったしあわせにひたる彼女がうつくしい。
ヤスを信頼しきった彼女は、少女のように無垢な表情をみせる。
あんな顔をされれば、ヤスでなくても
「このひとのために生きたい」とおもうだろう。
『蒲田行進曲』は、つまりそういう映画だ。

ラストの大団円も気にいっている。
小夏のためにもヤスが生きていてほんとうによかったし、
赤ちゃんも無事に生まれた。
撮影もどうやらうまくいったようだし、
みんながすこしずついい人間になって映画がおわった。
まったくの大団円だった。

posted by カルピス at 21:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする