虫歯の治療に歯医者さんにかよっている。
先日は、1時間20分もイスにすわり、
ほとんどの時間、口をあけてすごした。
そんなにいたくはないものの、これだけの時間となると
おわったころにはぐったりつかれてしまう。
それでも歯がいたむことをおもえば
これぐらいのつらさはなんでもない。
歯がいたいというだけで、
生活のすべてがつらく、くるしいものになってしまう。
いまはこうやって歯医者をたずねれば
すぐにいたみの原因をとりのぞいてくれるけど、
かんがえてみると、人類が歯のいたみから開放されたのは
そんなにむかしのことではないはずだ。
700万年という人類の歴史のうち、
歯の治療法がととのえられたのは
ほんの数十年まえからのことで、
それまでは「ぬく」ことによってしか
解決できなかったのではないか
(麻薬でいたみをかんじなくすることはできたかも)。
あまいものをたべなければ、
そんなにかんたんには虫歯にはならないそうで、
脚気とおなじように、虫歯はお金もちだけのなやみだったのかもしれない。
とはいえ、いったん虫歯になれば、そのいたみがきえることはなく、
ずっとつきあっていかなければならない。
いたみのはじまりは人生のおわりだった可能性もある。
人間にとってのやっかいな問題は、
すべての動物にとってもおおきななやみのはずだ。
犬やネコたちは、虫歯になったらどうなるのか、
動物園の動物たちは、それに野生に生きる動物たちは、と
いろんなことが気になってくる。
うでのいい歯医者さんのいる時代にうまれてよかったのか、
虫歯なんかが存在する近代にうまれた不幸なのか。