おおくの仕事術の本がそうであるように、
この本もとてもわかりやすい。
目次をおっかけるだけでじゅうぶんな気がするほどだ。
しかし、それを実践し、成果としての実がむすぶかどうかは
例によって本人しだいであり、
本気でふみだすことが、わたしはなかなかできない。
よみはじめは意気ごんでいても、
だんだんと気もちがしぼんでいくのもいつものことで、
この本でも前半にはやたらとフセンがはってあるのに、
中盤からへってきて、おわりのころまたちょっとふえる、
というおきまりのながれだ。
冒頭に「人生や仕事に対する考え方を一変させる。
それがこの本の目的だ」とはっきりうちだしている。
そして「キーワードは、ずばり『世界征服』」とあるから、
鷹の爪ファンのわたしにとってうれしくなるかきだしだ。
ここでいう「世界征服」とは
自分が本当に望むものを手に入れながら、同時に独自の方法でほかの誰かを助ける。それがひとつに収束した状態
のことだという。
鷹の爪も世界征服することで、
世界中の人々にしあわせになってもらおうとしているので、
まったくちがった2つのうごきが
偶然にも同質な世界をめざしていることにおどろいた。
この本は、とにかくうごきだすことをすすめている。
そして、あきらめずにやりとおすこと。
絶対に失敗しない方法があるから、頭にたたき込んで実行しなさい。
とにかく始めること、そしてやめないこと。(バーバラ=ウィンター)
大切なのは、行動にうつすことによって、
人生を自分でコントロールしているという手ごたえをもつことだ。
どんなタイプの仕事をはじめるかについては、
たちあげに多額の資金が必要ないことから、
ちいさなビジネスをすすめている。
著者が「100ドルビジネス」とよぶささやかな起業は、
事業のおおくをオンラインにたよったものであり、
場所をとわずはたらけること・自分で就業時間をきめられること、などを
よいビジネスの特徴としてあげている。
そして、なにより自分がすきな仕事をえらぶこと。
「いらないものを断つ習慣と豊かさの追求」の章では
そのためのテクニックとして
「T0-STOP-DOING(やめること)リスト」をすすめている。
たしかに、なにかをはじめるためには
なにかをやめなければならないわけで、これが意外とむつかしい。
本書がとりあげているのは会議・テレビ・電話・メールなどであり、
生活からきりはなすには、こんなふうにリストにあげて
いつも意識していると効果がありそうだ。
村上春樹のスタイルも参考としてとりあげられている。
小説に集中するためには、執筆にてきした生活リズムをまもる必要があり、
つきあいのわるい人間になることをおそれていては
いい環境をたもてない。
いろんなことがかかれているなかで、
この本の特徴といえるのは、
すきなことをして生きてもいいんだ、と率直にかたりかけていることだ。
そして、中心にあるのはいつも
「自分の人生を自分でコントロールすること」にある。
よんでいると、わたしの生き方もそんなにずれていない気がする。
だれかにたすけられるのをまつのではなく、
自分のすきなことをしながら
まわりのひとをたすけるという「世界征服」まで
あともうすこしのところまできているかんじだ。
今週もやっぱり世界征服に失敗しながら、
ほんとうの世界征服についてかんがえる。