2012年10月01日

beランキングでの村上春樹作品

先週の朝日新聞・be(土曜日版)に、
「いちばん好きな村上春樹の作品は」
というランキングがのっていた。
会員制のサイトでアンケートをした結果なのだそうで、
1位『ノルウェイの森』、2位『1Q84』、
3位が『海辺のカフカ』となっている。

2009年の7月にもおなじbeの、ちがうページで
「村上春樹の作品を読んだことがありますか?」という
アンケートがおこなわれたことがあった。
ほかの作家でこうしたとりあげられ方をしたひとはおらず、
朝日新聞はよっぽど村上春樹がすきみたいだ。
うわさどおりにノーベル文学賞をとったら、
どんなにおおさわぎをするつもりだろう。
このときのアンケートでは、
beモニターの45%が「読んだことがあ」り、
そのうちの51%が「村上春樹が好き」とこたえている。
いちばんすきな作品は『ノルウェイの森』で、
いっぽういちばんきらいな作品も
『ノルウェイの森』があげられており、
村上春樹がすきではないひとのおおくが
「『ノルウェイの森』でこりた」というのだから、
かなり「すき・きらい」のわかれる作品みたいだ。

今回のランキングには、あたらしい作品もふるい作品も、
まんべんなく顔をだしている。
村上春樹はこれまでなんども意識的にスタイルをかえており、
それにもかかわらず、こうして発表された年代ごとに
作品がうけいれられているのはすごいことかもしれない。
とはいえ、1位の『ノルウェイの森』は488票と、
2位の『1Q84』(282票)に圧倒的な差をつけている
(それだけうれた作品なのだから、あたりまえの結果ともいえる)。
ベスト10にかぎっても、10位の『スプートニクの恋人』は33票、
9位の『1973年のピンボール』が53票だから、
どれだけ『ノルウェイの森』に人気が集中しているかがわかる。

はじめて村上春樹をよむというひとに、
わたしは『羊をめぐる冒険』をすすめたことがある。
比較的ちいさな世界でまとまったはなしであり、
村上作品のおもしろさがわかりやすいとおもったからだ。
その『羊をめぐる冒険』は122票で4位になっていて、
これはまあ、妥当なところだろう。
わたしがいちばんすきな
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は
82票で第7位。この作品や、初期の3部作をあげるひとは
わたしのイメージではおじさんのファンで、
あたらしい作品にはあんまりついていっていないような気がする。

作品が出版されるごとにわかい読者をつかんでいるから、
村上春樹の作品はいつまでもはばひろい世代から支持されるのだろう。
親子でファン、なんていうひともおられるようで、
なんだかこうなるとビートルズファンみたいだ。
ノーベル文学賞はもらっても、
ビートルズみたいに勲章はおことわりするのが村上春樹である。
きっと。

posted by カルピス at 22:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 村上春樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする