ゆうべの「アナザースカイ」(日本テレビ)には、
スペシャルゲストとして中田英寿さんがまねかれていた。
現役時代の中田さんは、すごくとっつきにくいひとだった。
試合後のインタビューで、
「いろいろ課題がみえてきた試合だったとおもいますが?」
とはなしをむけられても
「それで?」とつめたくこたえて相手をこまらせる。
それが、この番組ではなんでもはなしてくれるきさくな好青年だ。
ピリピリした雰囲気がなく、
司会の今田耕司さんがたずねることに
ごくふつうにこたえている。
これもまた計算された演出なのだろうとおもいつつ、
だれとでも気がるにはなす中田さんに好印象をもつ。
引退から6年たち、その直後からはじめた「旅」で
中田さんは世界中をめぐっている。
番組ではミャンマーとブラジルをたずね、
そこでの友人たちのと再会のようすが紹介された。
5年ぶりにおとずれたミャンマーでは、
女子代表の練習を見学している。
彼女たちは2000〜3000ドル(年)うけとっているプロ選手で、
日本の選手みたいにアルバイトをしなくてもいい環境なのがすごい。
チームを指導するのは日本サッカー協会から派遣された日本人監督だ。
外国で指揮をとる日本人監督はそんなにいないとおもうけど、
女子サッカー界では日本は先進国なのだろうか。
ミャンマーの変化には中田さんもおどろいていた。
おおきなショッピングセンターができ、
店内はまるでタイやマレーシアみたいな雰囲気だ。
ごうかなレジャー施設や、一流レストランもあり、
すこしまえのミャンマーとはぜんぜんちがう国になっているようだ。
民主化のながれをもうおしとどめることはできないだろう。
ブラジルでは元ブラジル代表のロナウド氏をたずねている。
でっぷりふとったひとのよさそうなおじさんになっていて、
むかしのおもかげがほとんどない。
サッカーでかせいだお金をつぎこんで
あたらしくビジネスをはじめているそうだ。
サッカー選手は、引退してからもまだながい時間がのこっており、
引退イコール隠居生活とはならない。
サッカーとかかわりながら生きるひともいるし、
中田さんやロナウド氏みたいに、
それまでとはちがうことにとりくんで、
人生をどうやって自分のものとするのか、さぐっているひともいる。
番組のなかで中田さんがはなしているように、
サッカーにはほかのスポーツや芸術にない特別なちからがある。
中田さんには、そのサッカー文化を
中田さん流に発展させてほしい。
大規模な事業でなくても、はなやかなとりくみでなくても、
いまの「旅」をサッカーにいかしてもらえることに期待したい。