カゼぎみなので、
予定していたトレーニングをとりやめて本屋さんへ。
カゼをひいているときは、
脳のうごきがいつもとちがうかんじで、
ぼーっとしながらあんまりかんがえずに本をえらべる。
かったのは、
『戦術リストランテU』(西部謙司・ソル=メディア)
『映画道楽』(鈴木敏夫・角川文庫)
『増補版松田聖子論』(小倉千加子・朝日文庫)
『男おひとりさま道』(上野千鶴子・文春文庫)
鈴木敏夫さんの『映画道楽』は、
単行本を図書館でかりてすでによんでいるものだった。
鈴木さんは、いっていることがはっきりしてるのに、
「ほんとかいな」とすんなりは納得できない。
『踊る大捜査線』について、
「通常のアクション映画では、
動くシーンがあると汗をかきますよね。
でも、この映画では青島も室井も汗をかかない。
なぜそういうことが起きたのか。
これは日本だけの状況なのか」
自分があることをかんじたときに、
その材料をつごうのいいところからもってくるかんじだ。
いろんなひととわたりあって
映画の企画をすすめるときには、
こうやって口八丁手八丁で
相手をまるめこむことが必要なのだろう。
とかくとなんだか鈴木さんがまちがったことをかいてるみたいだけど、
そうではなくて、「わたしはこうおもう、なぜなら」と
自由自在に自説を展開するのに感心した。
『戦術リストランテU』は
海外サッカー週刊誌『footballista(フットボリスタ)』
に連載されている記事を書籍化したものだ。
前作が好評だったということで、その2冊目となる。
「21の疑問からサッカーのセオリーを読み解く」
というサブタイトルになっていて、
歴史的・戦術的にいまのサッカーはどういう位置づけができるか、
その方向性は、ということがわかりやすくまとめられている。
質問はバラバラの21個なのではなく、
たとえば第1章の「ヨーロッパ製先端の戦術」は
疑問1.バルセロナのコピーは実現可能か?
疑問2.モウリーニョが目指すサッカーの完成形とは?
と、それぞれの章でつたえたいことを
質問によってまとめるという形式となっている。
西部さんの戦術本は何冊ももっていながら、
なかなか戦術の本質をつかむまでの理解にいたらない。
それでもおもしろくよめるのだから、
よませるという技術について、西部さんの能力はたかいのだろう。
前作よりもとっつきやすいメニューになっているので、
現代サッカーを俯瞰するのにいいガイドブックになりそうだ。
レジには5人ほどの列ができており、
なかなかとぎれない。
本がうれない時代とよくきくのに、
地方都市では生活における活字文化の地位が
まだたかいのだろうか。
きょうだけでなく、土日はいつもレジには列ができるし、
開店すぐの時間でも、かなりのお客さんが店にはいっている。
アマゾンはたしかに便利だけど、
こうやって本棚をながめながらゆっくりすごせる店があることは
とてもありがたい。