身内のこととなると、とくに子どもについてひとにはなすときは、
つい「ぜんぜんダメですよ」みたいにけなしてしまう。
まあそれが日本の常識みたいなもので、
ヘタにむすこのことを
「そうなんですよ。親のわたしがいうのもなんですが、
すごくいいやつです」とはなかなかいえない。
しかし、わたしはむすこのかくれたよさを
すくなくとも2つしっている。
ひとつはやさしさに関することで、
もうひとつは気のながさについてだ。
家庭訪問なんかの機会があれば、
先生にぜひつたえたいものだとおもっていたのに、
中3の冬になり、つまりもう家庭訪問のチャンスはなくなった。
先生 「家でのむすこさんはいかがですか?」
わたし「ええ、とてもやさしい子ですよ。
うちのネコがあいつの部屋のおしいれでねてると・・・」
先生 「ねてると?」
わたし「顔だけでるように毛布をかけてやります」
先生 「・・・そうですか。
ほかには?」
わたし「それに、とても気のながい子です」
先生 「ほー」
わたし「ネコたちが外にでたくて窓のそばにたつと、
あいつはすぐに窓をあけてやります。
ネコがすぐにでなくても、ずっとまってます」
先生 「またネコですか」
というやりとりを先生としたかったのだ。
わたしは毛布くらいならネコにかけるけど、
彼ほどは気がながくないので、
そとにでなければすぐ窓をしめていまう。
ネコずきのひとなら、きっとむすこのよさをわかってくれるだろう。
チャンスがあればこのはなしをきりだそうと準備してるけど、
なかなか親バカばなしにつきあってくれるひとがいない。
夜おそくまであかりがついているので
むすこの部屋をのぞいていみると、
ネコ(ピピ)とむすこがおなじまくらで
頭をならべてねていた。
わたしをみたピピは「アーン」と声をだす。
これをむすこの3つ目のよさにかぞえてもいいだろうか
(写真をとるまえにピピがうごいてしまった。すごく残念)。