おやつのはなしをしていたら、
きゅうにホットケーキがたべたくなった。
3日まえのはなしだ。
つぎのやすみの日につくろうとおもっていたのを
けさおもいだした。
せっかくのホットケーキなのだから、
ホットケーキミックスなんてつかいたくない。
うちにはちゃんと飯島奈美さんの『LIFE』があり、
そのなかにホットケーキのレシピがのっているのだ。
3枚分の材料として、小麦粉120グラムをきちんとはかる。
「粉ものは、カンに頼ると、ちょっとむずかしいので、
ここであいまいにしないでおきましょう」と
とうぜんな注意がきがのっている。
それでなくても飯島奈美のレシピは
ふつうそうにみえてすごくデリケートだ。
・まずは、じぶんなりの工夫なんかやめて、
レシピそのままつくってみてください。
・自分と、好きな人につくって、
いっしょに食べてください。
と糸井重里さんが大切なコツとして
本の「はじめに」にあげている。
『LIFE』にのっているレシピは
ハンバーグやオムライスだったりと、
だれでもつくれる料理ばかりなので、
つい自分流にやってしまいがちだから
わざわざこんなことがかいてあるのだろう。
で、小麦粉はちゃんと120グラムはかった。
つぎはベーキングパウダーを小さじ1だ。
でも、こまったことにはやくもここからつまずく。
あてにしていたベーキングパウダーがなかった。
ドライイーストはあるけど、
さすがにこれではだめだろう。
外はつよい雨と風で、コンビニにいくのはめんどうだ。
そもそもベーキングパウダーって、
コンビニにおいてあるのだろうか。
すこしまよってから、ベーキングパウダーなしでつくることにする。
頭と体がホットケーキをほしがっていて、
きゅうにトーストやご飯とみそ汁への変更では
納得してくれそうにない。
「小麦粉とベーキングパウダーをふるいにかける」
という工程もパスした。
ふるいがないからだ。
でも、そのほかはちゃんとレシピをまもる。
卵をよくかきまぜ、砂糖をくわえてさらにまぜ、
牛乳をくわえてよくまぜ、
とかしたバターをくわえて、さらにまぜる。
フライパンにうすくあぶらをひいて弱火にかける。
フタをして2~3分そのままおくけど、
おなじみのホットケーキらしい表面にはならず、
ゴツゴツとかたそうなやけぐあいだ。
スコーンのような、といえなくもない。
3枚分とレシピにはあったのに、ふくらまないから
すこしおおきまな1枚のホットケーキとなる。
そのうえにはちみつとバターをのせれば
とにかくみかけはホットケーキになるだろう。
はちみつは、かたまったのがすこしのこっていたので、
容器をはさみできってサジでこそぎだす。
できあがりの姿は、
日曜の朝、はちみつとバターをたっぷりのせて
いいにおいをたてながらテーブルにおいてある
手づくりのホットケーキ、
というイメージからずいぶん距離がある。
できあがりの写真をアップする勇気はなかった。
もちろん味にも問題がある。
そもそもホットケーキをたべている気がしない。
ネパールでのトレッキングちゅうに
朝ごはんとしてたべた揚げパンをおもいだした。
おなかにはたまるけど、
ホットケーキをもとめていた
わたしの頭をごまかす実力はない。
たべおわってからかたづけようとすると、
ボールについたタネがすごくあらいにくいことに気づく。
これもベーキングパウダーがないせいだろうか。
あとでクックバッドをみると、
ベーキングパウダーをつかわないホットケーキのつくり方も
ちゃんとのっていた。
いろんなやり方がかんがえられているものだ。
レシピどおりにつくることが
わたしはどうも苦手だ。
というか、材料さえちゃんとそろえられない。
ついこのまえも牛肉なしのビーフシチューという失敗で
こりたはずなのに。
ホットケーキをつくりだすとき、
まだテーブルで朝ごはんをたべていたむすこに
「ホットケーキたべる?」と
たずねなかったことだけが
今回のすくいだった。