「欧州サッカー根深い差別」として、
今朝の朝日新聞がヨーロッパサッカー界の人種差別問題をつたえている。
記事の中心は、ACミランのボアテング選手(ガーナ代表)が
差別的なヤジに抗議して、練習試合をとちゅうでボイコットした事件だ。
記事は「なぜ今、スタジアムを差別が覆うのか」として
人種差別問題の背景をさぐろうとしている。
しかし、失業率の悪化と関係づけて
「日ごろの不満の矛先が、
アフリカ系選手らに向かう」と、
まるで20年まえの記事みたいなふかみのない内容で、
たいしてめあたらしい見解がしめされているわけではない。
「根深い」と題されことからわかるように、
サッカーにおける差別問題は以前から問題になっており、
アフリカ出身の選手だけでなく、
おおくの選手が差別の対象だ。
猿のなきごえをまねたヤジをあびたボアテング選手は、
「怒り、失望、悲しみが
一気に押し寄せてきた。
差別を見るのも聞くのも初めてではないが、
うんざりだ」
と地元紙にかたっている。
2006年のW杯決勝でジダンがズツキをして
退場になったのも差別的な発言がきっかけだったし、
すこしまえにもリバプールのスアレス選手が
マンチェスターユナイテッドのエヴラ選手との握手をこばんで問題になった。
ベルギーでプレーする川島選手が、
福島の原発問題がらみの差別的な報道をされたのも
記憶にあたらしい。
サッカー界だけで人種差別がおこなわれているのではなく、
ヨーロッパの日常社会がそのままサッカーの現場でも
表面にでてくるとかんがえたほうが自然だろう。
フランスやギリシャなど、
おおくの国で極右政党の存在感がましているのは
いまにはじまったことではない。
わたしもフランスを旅行してるとき
「シノワ(中国人)」と子どもたちにからかわれ、
腹をたてたことがある。
差別的なあつかいをうけたことがないおおくの日本人にとって、
あからさまに差別されるのはかなり腹がたつし
ショックなできことでもある。
グランドでの差別発言をほっておけば、
精神的に冷静な対応がとれなくなり、
プレーに直接影響をおよぼしてしまうだろう。
相手の挑発にのるな、というのとは別の次元の問題であり、
差別発言はルール違反であることをあきらかにするべきだ。
きびしいペナルティによって
差別発言をふせぐしか方法をおもいつかない。
協会が厳格な方針をしめし、ホームチームがサポータ−や選手たちに
その精神が浸透するよう根気づよくもとめていく。
朝日新聞の記事は、
「根深い差別」としながらも、
なぜそれが改善されないのかについて、
分析がないのでものたりなかった。
「国際サッカー連盟のゼップ・プラッター会長は
3月1日、『差別はあってはならない』と、
対策チームを作ることを明らかにした。
人種差別に対する処分をこれまで以上に厳しくする方針だという」
これまでにもおなじような事件がおきながらも
いっこうに根本的な解決にむかわないのはなぜか。
このままではサッカーにおける人種差別の改善に期待できない。