2013年04月04日

丸ボウズのスペアータイヤからなにをまなぶか

春やすみもあとのこすは1日となった。
長期休暇と、4月からの新年度がかさなる春やすみは、
放課後等デイサービス事業所にとって
いちねんでいちばんうごきのはげしい2週間だ。
どんなかたちではじまるだろうかと、
おそるおそる春やすみ初日の3月25日をむかえ、
そしてなんとかあといちにちという4月4日になった。
この期間、わたしがなにをイメージしていたかというと、
『ルパン三世カリオストロの城』の製作現場だ。

宮崎駿氏は、この作品の監督を打診されたとき、
東映動画でもいっしょだった大塚康生氏を
作画監督にまねく条件でひきうけた。
完璧をめざす宮崎さんのはげしい演出は有名だが、
その宮崎さんの目をぬすんで
なにかともちばをはなれる大塚さんの、
あまりあてにならない仕事ぶりもよくしられている。
わたしは春やすみちゅう、
とくににげまわっていたわけではないが、
客観的にはだれの仕事ぶりにちかいかといわれたら、
大塚さんの名をあげざるをえない。
大塚さんが島根県津和野町出身ということとは関係なく、
たいへんな仕事から本能的に距離をおきたがる
大塚氏の心境がわたしにはよくわかる。
そんな大塚氏の尽力と、
もちろん宮崎氏のねばりづよい演出が実をむすび、
『カリオストロの城』は前作のルパンとはまったくちがう、
おしゃれでスマートな作品にしあがった。
興行的にはふるわなかったものの作品への評価はたかく、
再放送のたびにたかい視聴率をあげている。

『カリオストロの城』といえばおもいだされるのが、
冒頭でFIAT500のパンクを修理するシーンだ。
ボンネットからスペアータイヤをとりだした次元が

「なんだこのスペアー、丸坊主だよ」

といいながら、めんどくさそうにタイヤを交換する。
ルパンはFIATの屋根にこしかけて
「平和だねー」なんてうそぶいてるだけだ。
スペアータイヤがちゃんとしてるかどうかなんて、
この2人にとってはどうでもいい些細なこと、
というのを、みる側にそれとなくつたえている。
プロのどろぼーは、もうすこしマメで
すこしの失敗もおかさないような
はりつめた神経のもちぬしかとおもってたのに、
こんなテキトーさでもつとまるのかと、わたしはうれしかった。
スペアータイヤくらいちゃんとしたものを整備しておけ!
というひとたちより、
いちおう用意はしてあるけど、
ツルツルでほとんど役にたたない、というコンビのほうが
いっしょに仕事をしても気があいそうだ。

あるひとにとって、なにが影響をおよぼすのかは計算できない。
わたしは丸ボウズのスペアータイヤから、
肩のちからをぬいて仕事をすることをまなんだ。
あるいは、大塚氏から、
宮崎氏のそばにいてさえ仕事からのがれたがる
あそび中心の姿勢をくみとることとなった。
きっと、そうすることでした
自分のもちあじをいかせないと、はやばやとさとったのだろう。
ひとは、そのひとのもつ器の範囲内で仕事にむかうしかない。

posted by カルピス at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 児童デイサービス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする