きゅうにおもいたってピピの庭の草かりをした。
あつさが本格的にならず、
まだ蚊がでないうちに、というわけだ。
ピピにの庭はりっぱな日本庭園で、
しっかり管理すればみごとは風景になりそうな
松や石がおかれている。
ただ、半年以上ほったらかしにしているので、
草原はおおげさにしても
日本庭園とはいえないくらい草がのびている。
草かりをするにあたって、わたしが採用しているコンセプトは
「必要にしてじゅうぶん」だ。
このさきひどくならない程度に草の成長をおさえればいい。
パパパッとカマでなぎはらうだけだから、
今回の草かりはほんの10分でおわった。
草かりをしたかしなかったのか、
わからないくらいがちょうどいいという
節度をたもった遠慮がちな草かりだ。
道路や公園にはえている草を、
1本のこさず徹底的にとりさろうとしている
作業をときどきみかける。
仕事だからしょうがいないとはいえ、
ほんのちいさな草が、どんなわるさをするわけでもないのに、
いろんな道具をつかってほじくられているのをみると胸がいたむ。
美意識のちがいは、うめがたいほどの断絶がある。
場所によってはボンベをせおい、
消毒のようなかっこうで除草剤をふきかけるひともいる。
石だたみやアスファルトの境目から、
すこしの植物もはえてこないようにと、几帳面な仕事ぶりだ。
薬で茶色くなった草を、きちんと管理しているとみるか、
毒をばらまいているとみるかでずいぶんちがう景色になる。
その点ピピの庭にはえている草はしあわせで、
のびた分をかりとられるだけですから
おたがいにウィン・ウィンの状態といえるだろう。
5日あとに庭をみてみると、
草かりをしたことなどぜんぜんわからないほど
もとにもどっていた。
さすがに草たちへの配慮がすぎたようで、
もういちどカマをふりまわさなければならなかった。
とはいえ、ほんの10分を秋までに数回やればいいのだから、
やっぱり草かりはなんちゃって方式にかぎる。