Wカップアジア最終予選対イラク戦
この試合をまえに本大会への出場をきめている日本と、
この試合にかたなければ予選敗退がきまってしまうイラク。
イラク本国での試合がみとめられていないので、
中立地のドーハ(カタール)でおこなわれた。
イラクというと、2007年のアジアカップで優勝した国だ。
このときも政情が不安定で、
イラク国内では練習ができなかったときく。
決勝戦はサウジアラビアを相手におこなわれ、
とにかくまえにすすもうとする気もちのはいったプレーと、
フィジカルのつよさが印象的だった。
1-0で優勝をきめると、おおくの選手がイラク国民への愛を口にする。
国のためにたたかうということが、
こんなにもチームをつよくするのかと、非常に感動的な勝利だった。
そのイラクが、この予選ではちからを発揮できず、
グループ最下位の5位とくるしんでいる。
監督も、予選をつうじて3人も交代した
(日本でのゲームはジーコ氏が指揮をとっていた)。
もうあとがないこの試合では、
かちたい気もちはつたわってくるものの
ラフプレーがめだち、好感をもつことができない。
34℃というピッチコンディションのせいか、
日本はなかなかペースをにぎれない。
イラク選手とのせりあいにもまけ、コロコロとよくたおれる。
解説の山本昌邦さんは、例によっておなじことをくりかえしてばかりいる。
・チームとしての切符はとったので、
これからは個人の切符をとるためのほんとうのたたかいがはじまる。
・選手間の競争がとまった瞬間、本大会での勝利はなくなる。
・埼玉スタジアムではかんがられないピッチコンディションだが、
世界でたたかうときにこうした状況があたりまえである。
これらのことを、場面はかわれどセリフはかわらずで、
なんどもなんどもくりかえしきかされた。
実況アナウンサーは、試合開始前の審判紹介で、
「◯◯さん」ではなく、名前をよびすてする。
サッカーへのリスペクトがない姿勢にセンスをうたがった。
中立地のドーハが会場ということで、
試合はもりあがりにかけ、淡々とすすんでいくようにみえる。
解説・実況への欲求不満もかさなり、
あまりみていてたのしい試合ではなかった。
試合は後半終了間際のカウンターで、
岡崎が遠藤とのパス交換からゴールをきめた。
34℃なんて、サッカーができるコンディションではないのに
(試合のとちゅうで、前半と後半に1回ずつ
1分間の「給水タイム」がもうけられている)、
さいごまではしりぬいた選手たちの健闘をたたえたい。
わたしのひいきする中村憲剛が後半23分に
清武にかわってピッチにはいる。
この番組は、現地で製作された映像をもとに放映されており、
カメラをひいてピッチ全体をうつす時間がおおかった。
そのせいか、憲剛がどこにいるのか
はじめなかなかわかりずらかったが、
あんがいこうしたカメラのつかい方のほうが、
試合のながれをつかむのにはただしいかもしれない。
選手たちは試合のあとコンフェデレーションズカップにむけて
ブラジルへ出発するという。
15時間のフライトなのだそうだ。
34℃のコンディションで試合をしたあとすぐ移動し、
中4日でブラジル戦というのは
そうとうきびしいスケジュールだ。
いい大会になることを期待したい。