たのしみにしていたラオス旅行にいけなくなった。
家族が入院したためで、
微妙な時期に2週間るすをするのは、さすがにゆるされそうにない。
のがした魚はおおきい、のたとえがあるように、
いけなかった旅行はたのしいにきまっているので、
いったいどんな旅行になるはずだったかをかいておきたい。
そもそも2週間の旅行が職場からみとめられるのは
かなりありがたい環境といえるだろう。
労働者が有給休暇をつかってなにがわるい、といのは正論ではあっても、
現実にはそれがなんの摩擦もなしに実行できるわけではない。
それを、わたしが旅行の希望を職場につたえると、
あっさりと「いいですよ」といってもらえた。
また、配偶者も、こちらはあきらめたようないい方で
「どうぞ」ということだ。
このふたつの了解をえることで、
わたしの旅行は実質的になんの障害もなくうごきだした。
もうすこしで、つりあげた魚がアミにはいるところだったのだ。
旅行さきをラオスにしたことに、とくに理由はない。
はじめはスリランカのつもりだったけど、
なんとなくラオスにかえる。
タイからラオスにはいれば、まだいったことのない
イサーンとよばれるタイの東北部もみられるし、というくらいか。
わかいころの旅行で、わたしは中国のシーサンパンナをたずねたことがある。
雲南省の昆明からバスにのって2泊3日で
シーサンパンナの中心地である景洪につく。
ここを拠点に、あとはどこへいっても少数民族のすむ村で、
船で川をくだればラオスとの国境だし、
バスでちょっと南へむかうとミャンマーとの国境だ。
この「川」とは中国では瀾滄江とよばれるメコン川のことで、
その当時からこの川くだりは旅行者のあいだで人気があった。
船で下流の村へむかうとき、
まるで『地獄の黙示録』のシーンみたいな風景を味わえるのだ。
いまおもえば、あのときにラオスとの国境ちかくへいっていたわけで、
今回のラオスゆきは、そのわかいころの旅行の、地理的なつづきであり、
センチメンタルージャーニーということもできる。
以前、雲南省をバスで移動しているとき、休憩所でうどんをたべたときに、
あたりまえにパクチーがはいっていた。
そのなつかしいかおりに、ここはタイのちかくであることをおもいだす。
今回はその逆で、タイからラオスはいって、
ここがシーサンパンナのちかくであると、確認することになるだろう。
もっていく荷物についていうと、こんどの旅行は
はじめてキンドルにたよるものになるはずだった。
旅行には、いつも10冊ほど文庫本をもっていくので、
荷物を用意するときにいつもできるだけかるく、とおもいつつ、
さいごには逆上ぎみにおもい本もまぎれこませた。
今回は、パソコンだって11インチのMacAIRだし、
読書が200グラムのキンドル・ペーパーホワイトなので、
ずいぶんスマートなパッキングになっていただろうに。
2月のラオスゆきはあきらめるとして、
ちかいうちにべつの旅行を計画しよう。
2月をえらんだのは、やすみがとりやすかったことと、
ラオスとタイが乾季にあたり、
あつさになやまされずに旅行できる季節だからだ。
時期をずらせば、いきさきもかえたほうがいいかもしれない。
そんなことはどうでもよくおもえるかもしれない。
これからわたしの旅行欲がどういう反応をみせるか、
頭と、家族の健康と相談しながら
おいしいごほうびを用意したい。
幻におわった今回の旅行にかかった費用は、
航空チケットのキャンセル料が2万4000円、
すでにかっていた大阪までのバスチケット5100円、
合計4万9100円となった。
いい夢をみさせてもらった代金として
妥当な金額とおもうしかない。