2014年01月22日

「イニエスタは勝手に育った」 天才はそだてられない。勝手にそだつ

21日の朝日新聞に
「イニエスタは勝手に育った」という記事がのった。
スペインのサッカーがなぜつよいかについて特集した
「王者の源泉」というシリーズの1回目だ。

イニエスタの祖父ルハンさんが、
イニエスタがちいさかったころをふりかえる。

『私はサッカーボールが丸いってこともしらなかったぐらい、
サッカーに関心がない。
アンドレス(イニエスタ)にはだれも教えていないよ』

「イニエスタ少年は放課後に友達とボールを蹴っていた。
自宅でも中庭の壁に向かって蹴った。
飽きもせず、朝から晩まで。
でも、それだけだという」

イニエスタがはじめて所属したクラブのバロ監督もいう。

『育てたわけではない。
サッカーに集中し、誘惑に負けないように見守るだけだった』

ずっとむかし、宮ア駿さんがまだトトロをつくっていたころ、
ディズニーについてかたっている。
ディズニーが後継者の育成に失敗したといわれていることについて、

「でもちがうのだ。ディズニーは学校を造って、
アニメーターの養成をくり返したし、
移民局にまで人を送って人材の発掘に努めたのである。
人材のためには金を惜しまなかった。
それでも、後継者は育たなかった。(中略)
新人とは、関係のない所で、ポコっと生まれるものなのだ。
ディズニーとその良きスタッフのオールドナインだって、
カリフォルニアの砂漠にポコっと生まれたではないか」

そういう宮崎さんだって、養成されたというよりは、
ポコっと生まれた印象をうける。
ジブリも、新人の養成にちからをいれながらも、
第2の宮ア駿や高畑勲はうまれていない。
天才は、そだてられないのだ。
生まれるのをまつしかない。

これは、育成機関が必要ないということではない。
「スペインサッカーの強さは育成の強さ」
ともいわれているそうだ。

「協会などの育成部門の仕事は底辺を広げ、
そうした(イニエスタのような)選手が生まれてくる土壌をつくり、
すくい上げることだ」

天才はかってにそだつけれど、そのためには土が必要だ。
どこかにポコっと生まれた天才を、
そのままかれさせてしまわないための土。
ただ、栄養ゆたかである必要はないかもしれない。
あたりまえに土がある、という環境が大切なのだろう。

「イニエスタは勝手に育った」。
まったくうまいタイトルだとおもう。
天才はそだてられない。かってにそだつ。

posted by カルピス at 13:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする