2014年02月05日

雑談力にはプレミアリーグと海外ドラマ、という津村記久子さんの発見

きのうの朝日新聞に、
津村記久子さんが「ツボを見つける」という記事をよせている。

「このごろ学んだ人付き合いにおいて重要な事項といえば、
『女の人には海外ドラマの話をして、
男の人には海外サッカーの話をすればよい』
という明快なことである」

という発見についての記事だ。
まあ、そういうこともあるかもしれないな、とよんでいると、
そのつづきがおもしろい。

「海外サッカーの話をする9割方の人が、
アーセナルFCかリヴァプールFCを応援しているのである。
ほぼ、どちらかしかいない。
文章の業界にまつわるサッカー好きな人々には、
だいたいアーセナルかリヴァプールの話をしたら
間が持つということになる」

海外ドラマについては「LAW&ORDER」か
「クリミナル・マインド」の2本が双璧ということで、
サッカーの2つのクラブとあわせてこの4つの話題をおさえておけば
雑談でこまることはないそうだ。

こういう新発見をわたしはたかく評価する。
気のきいたおとなたちは、こうした法則性のもとに
会話をなりたたせているのだ。
わたしはかなりサッカーがすきなほうだとおもっていたけど、
残念ながらアーセナルやリヴァプールのはなしをふられても
気のきいたおしゃべりはできない。
ましてや海外ドラマはどちらもタイトルをきいたことさえなく、
お茶をいっしょにのんだら、さぞたいくつな人間だろう。
小田嶋隆さんが

「酒はバカな人とも飲めるけど、
お茶はバカな人とは飲めないんですよ。
30分も会話がもたないでしょう?」

とはなしておられた。
バカはいやだねー、とおもっていたら
自分のことだったとは。

それにしても、アーセナルとリヴァプールだ。
日本の知識人のハードボイルド化は、
あんがいいいところまですすんでいるのではないか。
これが、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシーだと、
いかにもそこのあさい、なんちゃってファンがよろこびそうな
チャラチャラした印象になる。
アーセナルとリヴァプールということが肝心なのだ。

野球でないところも「ツボ」だ。
アメリカ人じゃあるまいし、
雑談でヤンキースかレッドソックスの話題だと9割方オッケーというのでは
おもしろくない。サッカーとくれべてふかみがぜんぜんちがう。
バルセロナでもセリエAでもなく、ましてやJリーグでもない。
プレミアリーグ、そのなかでもアーセナルとリヴァプールというひとなら、
お茶をのんでも、さぞ含蓄のある会話がいききするのだろう。
そして、それをかぎつけた津村記久子さんの分析力もいいかんじだ。

べつのいい方をすると、9割方のひととはなしをあわせるには、
アーセナルとリヴァプールについて
そこそこの知識をもっている必要があるということだ。
いまやそれが常識であり、必需品となった。
相手をたいくつさせないため、また、ぎこちない瞬間がおとずれないために、
この2つのクラブについて、ざっと情報をしいれておこう。

アーセナルの人気は、アーセン=ベンゲル監督の長期政権に
鍵があるかもしれない。
マンUのファーガソン前監督のように
ベンゲル監督も1996年から指揮をとっており、
パスワークを武器にした攻撃型のチームとして
たかい評価をえている。
マンUのつよさにいや気がさしているひとは、
そのマンUに攻撃力で対抗するクラブとしてアーセナルに期待する、
という位置づけではないだろうか。

リヴァプールの魅力は・・・わからない。
ここでサジをなげてしまっては、
「いっしょにお茶をたのしめないバカ」になってしまうので、
これはもう、関心を共有できるよう、人気の秘密をたずねるしかない。
なぜきらいかは説明できないけれど、すきなものには理由があるはずだ。
リヴァプールの魅力について、理論整然としたはなしがきけることを
たのしみにしておこう。

posted by カルピス at 08:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする