小倉さんと山本文緒さんの対談「男の快楽と女の快楽」がのっている。
小倉さんによると、快感には「前駆快感」と「最終快感」がある。
「前駆快感」とは性器的ではなく、性別もない快感で
「くすぐったり、なでたり、すったり、なめたり、ほほえんだり、冗談をいったり」ということ、
「最終快感」は性器をつかった快感だ。
日本は
「子どもが小さいときには、たぶん世界で一番前駆快感を刺激する国」
なのだそうで、
親といっしょのふとんでねたり、いっしょにお風呂にはいるのは、
日本だけという。
それが、おおきくなるときゅうに指しゃぶりをやめなさいとか
おっぱいをすうのはよしなさいとか、
突然、前駆快感を禁止する。
「だから日本人の中には、前駆快感に対する禁止への怒りと
前駆快感への郷愁が根強く残っていると思うんです。
西洋的なセクシュアリティと日本人のセクシュアリティは、
そこが違うと思うんですね」(小倉)
わたしがネコたちを溺愛するのは、
できあいしなければ ネコといっしょにくらす意味がないとまでおもうのは、
「前駆快感への郷愁」が根にあるのかもしれない。
山本「今の若い世代の女の人は、
自分の思うとおりの男じゃないと、結婚しない?」
小倉「もちろん、そうです。
自分の前駆快感を、夫が満たしてくれないとダメ。
すなわち、自分がいやな家事は夫が代わりにやってくれる。
そして自分がいやな労働は、夫が代わりにやって稼いできてくれる。
しかもたくさん稼いできてくれる。
三つ目は、自分が悲しいのと言ったら、よしよししてくれる。
この三つです」
わたしにかけているのは経済力だけだ。
家事も「よしよし」も、いくらでもやってあげるけど、
「たくさん稼いで」だけはむつかしい。
でも、女性が結婚相手にもとめる条件は、経済力が断トツで1位なので、
3つのうち1つがかけているのではなく、これだけで完全にアウトとなる。
「少子化の最大の原因は晩婚化で、
晩婚化の最大の原因は、女の子が男の子の最終快感幻想に
付き合わなくなったからです」(小倉)
対談の最後で小倉さんが山本さんに質問する。
「ホテルの一室にはいると、ベッドが2つあって、
一つにはキムタク、もうひとつには松嶋菜々子が
裸になってシーツを首まであげてねています。
あなたはどちらかのベッドにはいって
そのひとと性行為を営まなければならないとしたら、
どっちのベッドにいきますか?」
山本さんはキムタクをえらぶ。
つぎは、質問が亀井静香と山口智子にかえられる。
山本さんは亀井静香をえらぶ。
「どんな男でも男がいい」という。
「へーえ、そういう女の人は、数はすごく少ないんですよ。
だから特異体質ね」(中略)
「その人という時のあなたのジェンダーは女ですか?」(小倉)
山内マリコさんの『ここは退屈迎えに来て』をよんだとき、
すごくおもしろかったけど、現代の世相をあらわす資料として
分析したかたちでしめしてほしいともおもった。
地方都市でくらすわかものについては藻谷浩介さんに、
わかい女性の心理については小倉千加子さんに。
薫ちゃんが普段あたしに話していた陽気な夢は、嘘だったことに気づいた。
「ディカプリオにスカートめくられちゃったよ。いやー参った参った」
と前に薫ちゃんは言っていたけれど、
本当にスカートめくりをした犯人はクリストファー・ウォーケンだった。
薫ちゃんの夢はほとんどホラーだ
わたしには『ここは退屈迎えに来て』の感想がかけない。
もうすこししたら、いろんなことがつながりそうだけど、
いまはまだ「おもしろかった」としかいえない。
小倉千加子さんによる解説をまちたいところだ。