倉下忠憲さんの『遠くて近い場所、近くて遠い場所』をよむ。
http://rashita.net/blog/?p=13483
倉下さんはことしKDPによる「月刊くらした」をめざしており、
この本は2冊めにあたるエッセイ集だ。
「月刊くらした」とは、視力をうしなってなお
まるで月刊誌のように本をだしつづけた梅棹忠夫氏にちなんだ命名で、
倉下さんは文字どおり毎月の発行を計画されている。
この本は、倉下さんの有料メルマガにのった記事を編集されたもので、
ジャンルべつに8章からなっている。
わたしはそのなかで
・書くこと
・作業
・本
・知的生産
の章をとくに興味ぶかくよんだ。
(章につける名前は、もうすこししたしみのもてるものがいいとおもう。
「書くこと」「作業」」ではあまりにも愛想がない)。
キンドルペーパーホワイトでこのエッセイ集をよみながら、
わたしがKDPにもとめるひとつの典型は、
こうした本であることがわかった。
雑誌みたいにいくつもの内容にわかれ、
それぞれの記事は自分が関心をよせることについてかかれている。
すきな記事ばかりのった本のページをめくるのはたのしかった。
そんなに熱心にさがしているわけではないにしても、
自分にあったブログになかなかであえない。
そういうときはツイッターをつかうのだろうが、
あいにくわたしはツイッターに興味がない。
わたしがブログでよみたいのは、
この本みたいな本・文章・知的生産についての記事であり、
それを正確で誠実な文章にしてほしい。
これにあとトレーニングとサッカーの章があれば
それでもうわたしは満足だ。
と、かきながらも、ほかにも旅行や探検・冒険にも関心があるし、
日本語の表記法についての情報もしりたいし、
文明史からみた女性論(男性論)もほしい、と
よみたい記事がずるずるとでてきた。
かきあげてみると、けっきょくこれは梅棹忠夫著作集ではないか。
梅棹忠夫著作集は別巻の総索引をのぞいて全22巻からなり、
「知の技術」
「中洋の国ぐに」
「情報と文明」
など、それぞれの巻が独立した内容となっている。
専門の民族学だけでなく、探検や生きがい論など、
梅棹氏がいかに幅ひろい対象について
関心をもつつづけたのかがうかがえる。
そして、わたしの興味・関心のおおくは、
この著作集にかさなっているようだ。
こうした分野について、わたしにもわかるかき方で、
だれか記事をかいてくれたらありがたいのに。
本になったものはたくさんあるかもしれないが、
ブログのように気らくによめたらたのしい。
倉下さんのエッセイ集は、わたしのそんな要求を
かなりの程度みたしてくれた。
たくさんの記事がでまわっている
サッカー・トレーニング・健康について検索をかけても、
自分のこのみにあった記事はなかなかみつからないものだ。
本にしても、すこしずつすきな作者をふやしてきたのだから、
ブログでもおなじことがいえるのだろう。
梅棹忠夫著作集があつかうジャンルは、
幅ひろいとはいえ、あまり一般的ともおもえないので、
ゆたかなオタクの世界がひろがっているような気がする。
ブログとともにKDPがひろがって、
すきま本がどんどんでてくることを期待している。