南井正弘氏によるメドックマラソンの記事が、
「スポーツナビ」に報告されていた。
http://dosports.yahoo.co.jp/column/detail/201410080001-spnavido
メドックマラソンは、エイドステーションにワインやステーキなど、
ありえない豪華な「食事」がならぶことで有名なレースだ。
南井氏は、はじめ35キロまではワインをのまないでおこう、と用心し、
でも高橋尚子さんから「シャトー・ラフィット・ロートシルト」が
16キロ地点でだされるという情報をえると、
「16キロまでは我慢する」にきりかえる。
「しかしながら、スルーするはずの5km地点最初のワインテイスティングポイントに差し掛かったとき、ランナーたちがものすごい勢いでワインに向かう姿を見たのと、「Grand vin!」というフランス人ランナーたちの声に思わず反応して飲んでしまった」
というのは、いたしかたないところだろう。
ワインずきにはなやましいレースだ。
わたしもワインはすきだけど、そんなにアルコールにつよくない。
あれもこれもとよくばってゴールをめざせば、
冗談でなく死んでしまうような気がする。
そういえば、大学のときに「ビールレース」という
とんでもないもよおしものがあった。
わたしは水泳部に所属しており、
となりの県の大学と、恒例の定期戦が毎年おこなわれていた。
かっこつけていえばサッカーの「クラシコ」みたいなもので、
あそこだけにはまけられない、みたいな意地のはりあいみたいなところがあり
毎回ひくいレベルなりにもりあがっていた。
競技がおわったあとでは余興もあり、
そのさいごが主将どうしによるビールレースだった。
内容は、「よーい、ドン!」でプールにとびこみ50メートルをおよいだのち、
むこうのスタート台にのせてある大ビンのビールをできるだけはやくのみ、
またおよいでかえってくる、というものだ。
そのうえ、ゴールしたあとは、まちうけていた相手チームのメンバーに、
むりやりパンツをぬがされるというおまけがついている。
それまでにもけっこうのんでいるし、
いっきのみしたあと、50メートルを全力でおよぐなんて、
あんまり安全なレースではなさそうだ。
わかさゆえのバカさわぎで、あぶないなんて、だれもかんがえてない。
母校愛につきうごかされるわけではないけど、
むこうについたらパンツをぬがされるなんて、
すっかりわすれて、とにかくとなりのヤツにかとうと懸命におよいだ。
メドックマラソンは、心身ともにゆとりのあるおとなのあそびとして
参加者・関係者がたのしんでいるのだろう。
仮装してはしるランナーもおおいそうで、
レースをかねたおまつりみたいなかんじだ。
日本の常識は世界の非常識というけど、
マラソンレースでアルコールをのみ放題なんて、
いくらなんでもあぶなそうなのに、
参加してるひとたちはとびきりたのしそうにはしっている。
日本人にはしんじられないつよいからだなのだろう。
どうかんがえても、ワインをのみながらはしるなんて
わたしにはできそうにない。
シラフではしってもくるしいし、
はしらずにのんでもよっぱらってしまう。
わかいころのわたしなら、大丈夫だったろうか。
ビールをのんだのち、全力でおよいでも生きていたのだから、
すこしくらいのワインとステーキならたのしめただろう。
ビールレースなんかにうつつをぬかさないで、
世界にはずっとおしゃれでたのしいもよおしがあることを
当時のわたしにおしえてやりたかった。
でも、「これは2万円のワインだ」なんて情報がはいったら、
あたまとからだを冷静にコントロールできなかったはずだ。
きっとへんなのみ方をしてあぶない目にあっていただろう。
メドックマラソンに参加するとしたら、
ワインは前夜祭とうちあげ(そんなのがあるとしたら)だけにして、
レースはけしきをたのしむだけにしたいとおもう。