あたらしくジョギングシューズをかった。
わたしは町あるきも仕事も、
ジョギングシューズだけですませており、
いつものようにスポーツ店でえらんだ。
きめたのはアディダスのシューズで、
かなりハデなオレンジ色を基調としている。
こんな色をえらぶ男はなにをかんがえているのだ、と
わたしなら警戒するようなシューズだ。
でも、けっきょくそれにした。
わたしは足が27.5センチとわりにおおきくて、
あまり注文をつけていると、はけるシューズがなくなってしまう。
つぎの日 職場にはいていくと やはりかなりハデ目で、
いかにもういてみえる。
よく、ひとをみるときは足元を、なんていうけど、
わたしなら、こんなバカげた色のシューズをはいてくる人間に、
あまりいい評価はしないだろう。
なによりも わたしがすっきりしない気もちをひきずっているのは、
いちばんだいじなはきごこちがいまひとつ、ということにある。
ちゃんとたしかめたつもりなのに、なんとなくしっくりこない。
おおきさはよくても、それだけでは足との相性がつかめないところに
くつのかいものの むつかしさがある。
ちょっとためしに店のなかをあるいたぐらいでは、
ほんとうに自分の足にあっているのかはわからない。
ある程度、こんなものだ、という妥協が必要になってくる。
それにしても、このところたてつづけに かいものがうまくいかず
がっかりしてしまった。
くつというと、『未来少年コナン』をおもいだす。
つらかったインドストリアでのたたかいのあと、
ハイハーバーについたコナンたちは、
それまできていた服をきがえ
心機一転、町での生活をはじめる。
朝おきると、コナンの服をラナが用意してくれていた。
シャツとズボンはよかったけど、
くつはあきらかにおおきすぎて すぐにぬげてしまう。
「ちょっとおおきかったかしら?」と心配するラナにコナンはいった。
「ピッタリだよ!」
男たるもの、くつのおおきさなんかを気にせずに、
「ピッタリだよ!」といえるようでなくては、と
わかかったわたしはおもったものだ。
自分のためにだれかがえらんでくれたものなら、
「ピッタリだよ!」とまよわずいえる人間になろう。
今回のシューズえらびは、そもそも自分がえらび、ずっこけただけだけど、
シューズくらいのことでモンモンとした時間をすごすよりは、
「こんなものだろう」と手をうって、ほかのことに頭をつかったほうがいい。
「タラ・レバ」をかんがえてみてもきりがないので、
オレンジ色のシューズとおりあいをつけてやっていくしかない。
「ピッタリだ」と自分にいいきかせる。