デイリーポータルZでハロウィンパーティーを企画していた。
http://portal.nifty.com/kiji/141106165548_1.htm
この数年でハロウィンは日本でもすっかりおなじみの行事となり、
わたしのすむ町でさえ「トリック・オア・トリート」
なんて子どもたちがやってくる。
すこしまえまでは、かぼちゃでおきものをつくるくらいがせいぜいのところで、
なりゆきをうかがいながら、とおまきにながめていた行事なのに、
この数年の定着ぶりはすごい、というかひどい。
なにが「トリック・オア・トリート」だ。
しかし、違和感をもっているのはわたしだけではなかった。
ただそっぽをむいたり無視したりはおとなげないけど、
デイリーポータルZは行事としての距離感に気をくばりながら、
本質的な精神をたくみにとりこんでいる。
「ゾンビのメイクして渋谷でイエー!とかやるのはどうなんだ。
でもなんだかちょっと楽しそうではないか。
混じりたい、恥ずかしい。
そこで自分でルールを決めたパーティを開催することにした」
ルールは、
・通常はコスプレの対象になってないコスチュームを着てくる
・説明されてようやくわかるものでもOK
(高校の現国の山本先生、とか説明されてもわからないものでもOK)
・場所はスナック
参加者がどんな変装をして会場にきたかというと、
・本社から現場に来た人
・区役所で戸籍だしてくれるひと
・キャバクラのチラシ配り
・バスケ部のコーチ
・ヤンキー
・日本好きの外国人
・実はビールが好きな酒造の娘
・身代金受け渡し現場で男子高生になりすましている刑事
と、それぞれにわかりにくい「ひと」の格好をしている。
とはいえ、奇抜なコスチュームではないので、
変装してスナックにいても、そんなにへんなかんじはしない。
みなさん、あたりまえにおしゃべりやカラオケをたのしんでいる。
なにしろ、パーティーなのだから。
わたしだったらなにに変装しただろう。
あこがれ、というほどつよくはないけれど、
ちょっとやってみたい仕事に
・古本屋の店主
・旅行者
・ネコカフェの店員
・私立探偵
などがあり、たとえ変装したとしても
どれもなんの仕事のひとか、わかってもらえないだろう。
この、日常性に目をつけたデイリーポータルZはさすがだ。
ゾンビやガイコツに変装してはめをはずすのは あたりまえすぎるので、
どこにでもいそうだけど、自分とはちがうひとになることによって、
非日常的な空間をめざしたのだ。
もうひとつ大切なのは、ハロウィンとは変装パーティーときめこむことであり、
発祥の地で、もともとどんな意味をもつ行事なのかは関係ない。
わたしのすきなギャグに、
クリスマスに教会のまえをとおりかかったよっぱらいが、
「おいみろよ、教会でもクリスマスをやってるぞ」
というのがある。
ハロウィンもだんだんと換骨奪胎がすすみ、
なんのことかわからなくなったらたのしい。
というより、いまでもなんのことはわたしはよくわかっていない。
そこらへんにいそうなひとに変装、というのは、
日本的なただしいハロウィン理解のような気がする。