すこしまえのラジオ番組で「おひさしぶりね」についてはなしていた。
そんなタイトルの歌もあったけど、
その歌のことではなく、ものやことばで「おひさしぶり」なものをとりあげている。
たとえばレーザーディスクやMD、それにカセットテープなど、
いまではまったく目にしなくなった、なんてことだ。
「おひさしぶりね」なんて話題は、
むかしをなつかしむ安易な内容になりやすく、
わたしはさけるようにしているけど、
わざわざそんなことを意識しなければらなないのは、
だいすきなうらがえしなのかもしれない。
宮田珠己さんの『スットコランド日記』をよんでいたら、
「携帯音楽環境はMDプレーヤーで止まっている。
カセットテープ→CD→MDまでは時代についていったのだが、
そのへんで力尽きた」
とある。2008年7月にかかれた日記だから、
6年まえにMDはすでに そのやくわりをおえていたのだ。
わたしはMDを経験せずに、CDからiPodへうつったので、
MDについてまったく「おひさしぶり」感はない。
いまはまだCD売上なんていっているけれど、
CDの寿命もそうながくないのではないか。
職場の20代前半の女性スタッフにカセットテープをしっているかたずねたところ、
「名前はしっているけど、つかったことはない」
そうだ。
スマホ世代にはケータイだってずいぶんふるくさい製品だろうし、
パソコンでさえ これからはひとにぎりのひとしかつかわない機械になるかもしれない。
いまはつかわれなくなった「おひさしぶり」のことばでは、
「あとは若い二人にまかせて」
「それは言わない約束だよ。おとっつぁん」
「きーっ!くやしい!」
など。
というのはウソで、これらは『ベタ辞典』にのっていた
鉄板のベタ語だから、きっとまだつかわれている。
番組でなにをとりあげていたかわすれてしまった。
マイクのテストで「本日は晴天なり」なんて、いまもいうのだろうか。
ベタな話題としては、
筋肉痛のはなしになると、つぎの日にいたみがでるうちはまだよくて、
なんていいだすひとがかならずいるし、
くしゃみがでれば「だれかがうわさ話を」となぜだかいまでもいうし、
血液型の性格診断はいまだに本気でしんじられているし、
お天気がのぞまれるイベントでは「◯◯さんは雨男だから」という話題になる。
これらはぜんぶ死語としてお蔵にほおりこんでおきたいのに、
何10年もかたりつがれているのはなぜなのだろう。
気になるというか、やつあたりというか、理解できない現象に、
川柳をおもしろがるひとたちがいる。
サラリーマン川柳など、やたらと◯◯川柳がつくられており、
ラジオ番組でよくよみあげられるけど、気のきいた作品はほとんどない。
おもしろくないのに「おもしろいでしょ〜」と、
おもしろさをひけらかしているところがまったくイキでない。
これは川柳の罪というよりは、それをもちあげる側のセンスのなさがレベルをさげているわけだから、
ゴロがあっていればいいというものではないと、
よい手本をしめしてほしいところだ。
こんなヤボなことをいいだすオヤジも
そのうち「おひさしぶり」からお蔵いりになって、
という発想も、ずいぶんベタだったりして。