「一度日本のカップラーメンを食べたら、韓国のカップラーメンは食べられない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141120-00000021-rcdc-cn
韓国のひとが日本のカップメンを絶讃している記事をよんだ。
「インスタント食品に関しては親日派になるしかない」など、
ずいぶんおおげさに感激してくれている。
ひごろあたりまえにたべているカップメンって、そんなにおいしかったのか。
ほんとうは、わたしはカップメンをそんなによくたべているわけではなく、
一年間でカップメンはゼロ、袋ラーメンが10くらいではないか。
袋ラーメンにしても、ひと袋ぜんぶだと、味にあきてしまう。
すこしだけたべると、あんがいおいしい気がするけど、
サイトで絶讃されているほど おどろきの味とはおもえない。
職場から韓国へ旅行にいったとき、
ツアーのコースにおみやげ屋さんがはいっており、
ノリやらキムチをかわなければならない ながれになっていた。
それらはあまりほしくなかったので なんとかやりすごし、
わたしはコンビニにあった韓国のインスタントラーメンをおみやげにえらんだ。
外国のインスタントラーメンがおみやげなんて、
ちょっとひねっていておもしろいかも、とおもったのだ。
とうがらし味で、そんなにおいしくはないけど、まずくもなかった。
韓国のひとに、日本へのおみやげとして袋ラーメンをえらんだといったら、
ものすごく気のきかない選択だとおもわれるかもしれない。
でも、おいしいからおみやげにするわけではなく、
はなしのタネになれば目的をはたせるのだから、
コンビニでの韓国ラーメンも あんがいわるくない かいもののような気がする。
そもそもわたしは「おみやげかわない主義者」で、
たとえ外国へいっても 基本的におみやげをかわずにやってきた。
家族や職場に義理だてしようとすると、
けっこうな荷物になるので、かわずにすませるとすごく楽だ。
おみやげが もってきたカバンにはいりきらないので、
旅行さきであたらしいカバンを配偶者がかったとき、
なんでそんなにしてまで おみやげが必要なのか、わたしはまったく理解できなかった。
しかし、「かわない」と英断できるのは わかいうちだけで、
歳をとってくると 「かわない主義だから」とばかりはいっておれなくなる。
職場はいそがしいなか やすみをとらせてくれたのだし、
家族にも協力してもらっている。
わかいころは、自分ひとりで生きてるようなつもりだったのだろう。
それが、オヤジになるにつれて、だんだん現実がわかってくる。
このまえむすこが学校から大阪へ1泊2日の研修旅行にでかけ、
あべのハルカスでおみやげをかってきてくれた。
親でさえなんとなくためらって、できればかわずにすませようとするのに、
いまの高校生はそんな気づかいもできるのか。
もちろんむすこだけでなく、ほかの生徒たちもおみやげをかっており、
おみやげをかう文化が すたれないで うけつがれていることに感心した。
世の中、かわることと、かわらないことが たしかにある。
スマホをいじるいまの高校生が、やってることは30年前とおなじなのがおもしろい。
もっとも、そんなのをおもしろがるほうがどうかしてるので、
小学生だっておみやげはかうだろう。
おみやげの精神は、何歳ごろ日本人に、
あるいは人類にインプットされるのだろう。
外国での袋ラーメンについてもうすこしかくと、
朝ごはんをたべようとソウルで食堂にはいったら、
ふつうに袋ラーメンがでてきた。
手をぬいたわけではなく、料理として堂々と袋ラーメンがつかわれている。
あとからおモチがいれられて、すこしはにぎやかになっていたけど、
外国にきてまで袋ラーメンがたべたいわけがない。
わたしとしてはすごく残念な朝ごはんだった。
カンボジアでは、昼ごはんに食堂で「なんとかヌードル」をたのんだら、
袋ラーメンがでてきた。
アジアの屋台でよくあるようなメンがたべたかったのに、
野菜がたくさんはいっているものの、あきらかに袋ラーメンであり、
たべてもそんなにおいしくない。
どうやら袋ラーメンはりっぱなメニューとしてみとめられており、
というよりも、袋ラーメンのほうが屋台のメンより 格上としてあつかわれているみたいだ。
日本における袋ラーメンは、食堂のラーメンの代用品としてスタートしたのにくらべ、
外国では 袋ラーメンはあくまでも袋ラーメンであり、
なにかのかわりではないのだ。
日本のインスタントラーメンがいかにすばらしいかは、
ほかの国のひとにいわれないと なかなかわからない。
そして、なにがおみやげとしてよろこばれるかも、
日本人にはわからないことだ。
日本人だと国内旅行では「名物」をかってくるけど、
外国人が「なんとかセンベイ」や「なんとかまんじゅう」はえらばないだろう。
以前だとやすくて性能のいい電気製品が日本を象徴するもので、
いまだとコンビニのインスタントラーメンが、クールなおみやげになるみたいだ。
ノリやキムチではなく、韓国旅行におけるおみやげは、なにがクールだったのだろう。
とかいていて おもいだした。
まえにいた事業所で、利用者とグアムへあそびにいったことがある。
そのときに、食事として日本のカップヌードルをかってたべた職員がいて、
まわりからさんざんバカにされていた。
外国のカップメンならまだしも、わざわざ日本製をえらばなくてもよさそうなものなのに。
でも、いまおもえば その職員の選択は究極にクールだったのではないか。
外国で日本料理店にいくのがありなのだから、
グアムで日清のカップヌードルをたべるのも にたようなものだ。
彼のようなひとたちが、バカにされながらも 伝道師としてひろめたおかげで
日本製カップメンは、いま これだけたかい地位をえているのだろう。