2014年12月31日

旅行18日目 熟年バックパッカーとしりあう

ルアンパバーンから国境にある町、フェイサイへ、
そして国境をこえてタイにはいる。

ルアンパバーンからの夜行バスで、
ビエンチャンのゲストハウスですこしはなしをした
旅行者(村山さん:仮名)といっしょになる。
村山さんはいま67歳で、
仕事をしながら年に2〜3回の旅行をたのしんでいるという。
海外旅行に目ざめたのは60歳をすぎてからといい、
すこしの時間もおしんで なんでもみてまわろうとする。
なにをみても、なにをやってもたのしそうで、
写真をとりまくり、まわりのひとにはなしかける。
murayamasan.jpg
たとえば、ルアンパバーンにいるあいだになにをしたかというと、
わたしがワット・プーをみただけで、あとはカフェや散歩だけだったのにたいし、
村山さんは1時間のスローボートクルーズ・トラディショナルダンスの鑑賞・
洞窟へのツアー・托鉢の見学と、てんこもりだ。
けさいっしょに朝ごはんをたべたら、
こんなにゆっくり食事をしたのは この旅行ではじめてです、
といわれた。レストランに腰をおろすことなく、
だいたい菓子パンを道ばたでかじることがおおいという。
ゲストハウスではドミトリー(数人がおなじ部屋ですごす)をとり、
ほかの旅行者から情報をあつめる。
旅行のスタイルはそれぞれあるとしても、
情熱的な精神においては、旅行者のお手本みたいなひとだ。

村山さんはひとりで旅行されており、
宿やのりものの予約など、いろいろなことを心配しながら、
でも全身で旅行を味わっているのがつたわってくる。
だれにでもはなしかけ、自分の希望をつたえてゆく。
あかるい雰囲気がこのまれるようで、
村山さんとはなすだれもが笑顔になっている。
自分をまだ旅行の初心者といい、
はじめての旅行から関空にかえったときは、
安心感から床にすわりこんでしまった体験や、
はじめのころはビビりまくり、
はき気がよくしていたことをはなされる。

ルアンパバーンからの夜行バスは、
例によってタタミ1枚分のスペースに2人ねるというやつで、
予約をうけすぎたらしく、通路にも旅行者がねていた。
まるで奴隷船だ。
トイレ休憩がなんどかあるものの、
トイレがないところでの休憩がほとんどなので、
しかたなく道路ぎわでたちションする。
女性もちかくのしげみにはいってズボンをおろしていた。
だれがこんなバスを設計し、だれがこのシステムをひろめたんだ!と
わたしはグチをたれていたのに、
村山さんは朝わたしの顔をみるなり
「快適なバスでした!」とうれしそうな顔であいさつされる。
となりのおばさんが気をつかってくれ、よくやすめたのだそうだ。
朝ごはんをたべた食堂でトイレをかりると、
いわゆるタイ式の、ふつうといえばふつうとはいえ、
一般的な旅行者だったら 文字どおり腰がひけそうなトイレだったけど、
「正解でした、きれいなトイレでした!」
とうれしそうにでてこられた。
なにをしても ありがたくうけとめられている。
文句ばかりくちにするわたしと、
なんにでも感謝できる村山さんは、ひととしてのできがまるでちがう。

わたしもわかいころはドミトリーでも平気だったけど、
いまはもうシングルルームでないといやだ。
67歳になるひとが、バックパッカーとして
あちこちを旅行することをすばらしいとおもう。
せっかく貴重な体験をされているのだから、
ぜひブログにかいてください、と村山さんにすすめた。
村山さんの同世代で、村山さんみたいな旅行をしたくても
自分には無理だとおもっているひとを
勇気づけるのではないか。
わたしもまた村山さんのブログをよんでみたい。
みずみずしい目で、村山さんがなにをして、なにをかんじたか。

村山さんはこれからメーサイに移動し、
あすのいちばんでミャンマーへの国境をこえるのだそうだ。
あすが元旦なので、ことしはじめての国境ごえになればおもしろいから、という。
それもふくめて、ぜひ村山さんの旅行記をよんでみたい。

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2014年12月30日

旅行17日目 ルアンパバーンを見学する

きのうはバンビエンからルアンパバーンへ、バンにのって移動した。
6時間ときいていたのに、4時間ほどでつく。
とちゅう山をこえるときは、雲のなかに車がはいる。
それほどたかいところをすすんでいく。
写真のポイントになっているようで、
何台もの車がとまって記念写真をとっていた。
雲の中をゆく.jpg
ルアンパバーンには、町の郊外にあるバスのりばについたので、
そこからトゥクトゥクにのって町の中心にはいる。
でも、よくわからないところでおろされてしまい、
はいったゲストハウスは中心からはずれていた。
中心街にでるには2キロほどあるかないといけない。
でもまあこれはそうわるいことではなく、
やすい宿があつまる地区は旅行者がたくさんあつまっており、
ルアンパバーンの見学というより
ゲストハウスのしなさだめをしてるみたいだ(まけおしみ)。
まわりに自転車をかしてくれる店がなく、
しかたなく中心街まであるいてみると、たいした距離ではなかった。

ルアンパバーンは世界遺産に登録されているふるい町として有名だ。
けさは はやおきしてお坊さんの托鉢を見学しようとしたけど、
6時はまだそとがくらく、なんとなくうごけなかった。
7時からそとにでて、屋台でおかゆ、
そのあとカフェでコーヒーとクロワッサンの朝ごはんをとる。
はく息がしろくなるほど気温がひくい。
カフェのちかくにワット・プーシーがあり のぼってみた。
ルアンパバーンをみわたせるたかい場所にあるお寺で、
息がきれるほどきゅうな階段をのぼる。
ここがルアンパバーンで はじめてわたしがおとずれたお寺となる。
2万キープの入場料をとられた。
とくにお寺に興味があるわけではないので、
ルアンパバーンといっても あまりすることがない。
きょうの夜にフェイサイゆきのバスを予約したので、
それまでをどうすごすか。

朝ベッドでうとうとしているとき、
とつぜんラオスのビザが2週間しかなく、
これからタイにはいるには余裕のない日程なのに気づいた。
明日の朝フェイサイから国境をこえると、それが13日目となる。
あんまりギリギリでは気もちわるいので、
今夜のバスにのるのは正解だった。
ゆっくりボートで川くだりをする時間なんてなかったのだ。

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2014年12月29日

旅行16日目 ビエンチャンで詩人とであったこと

バンビエンからルアンパバーンに移動した。
ルアンパバーンについては またあとでかくとして(たぶん)、
今回はビエンチャンでしりあった詩人を紹介する。

ゲストハウスの部屋はあつくてとてもなかにおれないし、
カフェで時間をつぶすのにもあきたので、
1階の共有スペースでボケーっとしているとき、
おなじゲストハウスにとまる旅行者としりあいになった。
すこし日本語もはなすので、日本人かとおもったら中国人だった。
いきなり「昴」「四季の詩」を手もちの再生機できかせてくれた。
「わたしはシンガーだ」という。
「マイクでうたうんじゃない。
 どこでもうたう」
と、じっさいにオペラみたいな声のだしかたでうたってみせる。
まわりにひとがいても まったく気にしない。
シンガーでもあり詩人でもあるのだろう。
メモ帳にかいた詩をみせてくれた。
世界平和をねがう詩のようだ(漢字なのでなんとなくわかる)。
ハダシであるき、修行僧みたいなカサをかぶっている。
顔は加藤茶みたい。
なんでもうけいれられる おおきなひとだ。
これからどこへいくのかをたずねると、
公園でひるねをするという。
ついていっていいかというと、
すごい笑顔で「もちろん!」といってくれた。
いっしょにちかくの公園にいって、木のカゲにねそべる。
こういうひとは、カフェのエアコンなんかに
たすけをもとめようとはしないのだ。
ほかにも白人の旅行者がひるねをしていた。
自由にうごいているひとは、いろんな場所にいるものだ。
sizin.jpg
あなたみたいに自由なひとは、
中国政府にきらわれるんじゃないか、というと、
そうだ、パスポートももってない、なんていう。
パスポートをもたないで旅行してるのかとおもったら、
とられてしまい、いま申請中なのだそうだ。
でも、ぜんぜん気にしてない。
「あつくないか?」ときいても
「ノープロブレム、あついのがいい」という。
なんにでもすぐ「いやだなー」とおもってしまうわたしなんかと、
人間のできがちがう。

公園にある木のしたですずんでいると、
自転車にのった2人の女性がツメのていれをしないかと
もちかけてきた。
ちいさなイスをもって公園をはしりまわり、
お客になりそうなひとに声をかけている。
詩人は鷹揚に「きなさい、きなさい」とよびよせて、
手と足のつめをきってもらっていた。
わたしなんかは お金をはらってまでツメきりをしてほしくなんかないけど、
さすがに詩人はこまかいことを気にしない
(とおもったら、両手・両足で2万キープだ、とねぎっていた)。
おおきいのか、たいしたことないのか、わからないひとだ。

夕ごはんは詩人(ハムレットという名前だという。ハムレット!)といっしょに
ゲストハウスのちかくにある中華料理店にはいった。
野菜いためを1皿ずつたのむ。
しはらいをするするとき、詩人はこまかいのがなくて
7000キープはあした両替してからはらう、といいだした。
大人物だから、たかだか7000キープ(100円もしない)なんて
気にしないのか、

つぎの日の朝は、7時に詩人とまちあわせて、
2キロほどあるいたところにある市場につれていってくれた。
なかなかまえにすすめないくらい ものすごいひとごみだ。
肉や魚はもちろん、ヘビやカメもうられていた。
詩人は市場の外側にあるからあげ屋さんで3000キープ分をかい、
おつりの7000キープをちゃんとわたしにかえしてくれた。

あとからゲストハウスの旅行者が
「あのひとには注意したほうがいい」
とおしえてくれた。
仲間うちでケンカして、ゲストハウスをいちどおいだされたのだという。
一般的な視線でみれば、たしかにかわっているけど、
自由にうごいているだけで、はなしてみると たのしいひとだ。
ただ、いっしょにすごすうちに、
圧倒的に偉大な存在だった詩人が
ただすこしかわっているだけの、いまひとつさえない存在にみえてきた。
はじめてあったときは、とびきりの自由人にであえたとおもえたのに、
そのかがやきが、だんだんしぼんできた。
わたしの理解がとどかない、おおきすぎるひとだったのかもしれない。

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2014年12月28日

旅行15日目 あと1週間となり、ちょっとあせってくる

ビエンチャンからルアンパバーンへのとちゅうにある
バンビエンにつく。
チューブにのっかって川くだりをしたのがたのしかったと
ピーターがはなしてくれた町だ。
そうでなくてもビエンチャンからルアンパバーンへ直接いくのは
時間がかかりすぎるので、ここで1泊するのは旅行者にとってメリットがある。
3時間15分かかったバスの移動は、アスファルトなのがしんじられないくらい ひどくゆれる。
山のなかにはいるとすごい急カーブの連続で、
ラオスが山国なのをひさしぶりにおもいだした。

バンビエンの町には、ゲストハウスやレストランがならび、
川あそびなどの活動にひかれて旅行者があつまるうようだ。
韓国語の看板をよくみかける。当然、韓国人旅行者がたくさんあるいている。
わたしにはあまりいごこちがよくなさそうなので、
あしたルアンパバーンへいくミニバンのチケットを予約した。

けさビエンチャンのゲストハウスをでるときに、
日本人の旅行者がちょうどチェックインしてきた。
「日本の方ですか?」とはなしかけると、
うれしそうにすぐおうじてくれる。
わたしとはなしがあいそうなおじさんで、
たくさんおしゃべりがしたかったけど、
でもわたしはこれからバスにのるし、そのひとは
今夜の夜行バスでルアンパバーンへむかうという。
そのあとはフェイサイへ、できればボートにのっていきたいといわれる。
移動さきがわたしとかさなるので、
日程についてたずねると、1月3日のバンコクからの飛行機に
どうしてもまにあわせないといけないという。
「そりゃ、ちょっとたいへんですね」
なんて調子のいいことをいったあとで、
わたしもその2日後の飛行機にのることをおもいだした。
だから、わたしもそのひとと たいして条件がかわらないのだ。
いつまでも時間があるとおもってぼんやりうごいていたら、
このさきの移動があんがいくるしいことにようやく気づいた。
ルアンパバーンをみて、フェイサイまでボートで移動して タイにはいる。
そこからチェンライ、そしてチェンマイにいこうとおもうと、
あと1週間はこころもとない日数だ。
テキトーにうごいた結果なのだからしょうがないとはいえ、
たくさんみてまわったような、みてないような、中途半端な旅行になってしまった。

posted by カルピス at 17:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月27日

旅行14日目 ピーターにカタカナ英語の「ハゼゴン?」がつうじたこと

夕べは9時の夜行バスにのってパクセーからビエンチャンへ移動する。
ピーターは「あのバスはねむれない」と、なんだかかなしそうにいっていた。
そんなにひどいバスかと覚悟してのりこむと、
タタミ1枚ほどのたいらなスペースがくぎられている。
これならねむれそうだとおもったら、ちがった。
それは、2人分の座席だったのだ。
さいわいとなりのお客さんが、あまり場所をとらないような姿勢をとってくれたので、
せまいながらもわりとねむれた。7時ごろビエンチャンにつく。
これまでの町にくらべて物価がたかい。
ゲストハウスのせまいシングルルーム(トイレ・シャワー共同)で
4万キープ。
寄宿舎みたいなところで、ベッドとゆがんだ机がおいてあるだけ。
あつくてとても部屋ですごせないので、町をぶらつく。
あすのバンビエンゆきのバスを予約した。

夜行バスにのるときはたいていそうだけど、
1泊分のお金をはらい、出発までからだをやすめる。
ひるにチェックアウトしてから 夜までむりやり時間をつぶすより、
お金をはらってでも部屋でやすんだり、
トイレやシャワーを自由につかえたほうが わたしにはありがたい。
今回もそのつもりで ゲストハウスにそうつたえて安心していたら、
きのうになって「12時にチェックアウトしてください」といわれる。
夜まで部屋をつかえるといったじゃないか、といってもダメで、
べつのゲストハウスをさがすことになった。

ピーターも1泊する宿をさがすというので、
もしよかったら2人で部屋をとらないか、ともちかける。
もちろん宿泊費の半分をはらうから。
ピーターはひきうけてくれ、
2人でナングノイゲストハウスからさほどとおくない
べつのゲストハウスにうつった。
エアコンなしで5万キープ(およそ625円)。
半分はらうから、とピーターにいってもうけとらない。
あなたは夜までしかここをつかわないから、という。
友だちだから、心配しないで、ともいう。なんてヤツ。

なんだかスムーズにコミュニケーションがとれているみたいだけど、
ここで、わたしの英語がどれくらいのレベルかをかいておくと、
かんたんな単語、たとえばステーションなんかが なかなかつうじない。
こういう簡単だとおもっている単語に意外と苦労する。
きっと、というか、まちがいなくわたしの発音に問題があるわけで、
以前よんだ『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』(池谷裕二・講談社)にそって、
もっとしっかり勉強すればよかったと後悔している。
いまおもえば、この本はわたしにとって画期的な提案をしてくれていたのだ。
カタカナによる英語などというと、なんだかわるふざけみたいだけど、
池谷さんはカタカナと英語の発音における13の法則をみつけ、
その学習法としてこの本をまとめた。

あるひ同僚から「ハゼゴン」とよびかけられ、
池谷さんは意味がわからずきょとんとしていると、
相手は How-is-it-going(元気かい)
とゆっくりいいなおしてくれたはなしが はじめにかかれている。
「ハウ イズ イッツ ゴーイング」とはまったくちがうけど、
「ハゼゴン」といえばみんなにこやかに返答してくれたそうだ。
この法則によると、
How are you?
 ×ハウアーユー?
 ○ハオユ?
Do you want to listen to music? (音楽でも聴くかい?)
 ×ドゥーユー ウォント トゥー リッスン トゥ ミュージック?
 ○ジュワナ レスナ ミューゼッ?
となる。
ためしにピーターに「ハゼゴン?」「ハオユ?」といってみると、
みごとにつうじた。
「水はウォーターではなくワラ」ともかいてあり、
そのとおりにいうと たしかにまちがいなく「水」がつうじるようになり、
すごくたすかった。
わたしのヒヤリングもそうとうひどいけど、
はなしてつたわらないのはすごくこまる。
ほんとうに、ちゃんとこの本にそって(CDもついている)
くりかえし練習しておくべきだった。

posted by カルピス at 13:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月26日

『ストリート・キッズ』(ドン=ウィンズロウ)ニールくんの成長ものがたり

『ストリート・キッズ』
(ドン=ウィンズロウ・東江一紀 訳・創元推理文庫)

『ストリート・キッズ』をよみおえる。
副大統領候補の上院議員が、
行方不明になった娘をさがしてほしいと
ストリート・キッズそだちのニールにもちかけてきた。
かなりこみいった筋だけど、テンポよくのっけてくれる。
この本のおもしろさは、本題である娘さがしにくわえ、
ストリート・キッズだったニールが
どうやって探偵としてそだったかの 成長ものがたりでもあるところだ。

ニール=ケアリーは母親がドラッグ中毒の売春婦で、
父親もしらずにそだった。
ストリート・キッズとしてその日ぐらしをしていたところ、
うでまえをみこまれて、ある組織にひろわれる。
父親役となったグレアムが、尾行やしのびこみなど、
仕事のノウハウをたたきこんでいく。
この業界でながらく生きてきて、
どうみてもまともなくらしとは縁どおそうなグレアムなのに、
じつはきわめつけの清潔ずきで、
バランスのとれた食事や 家のそうじ・整理整頓など、
まともな生活をニールにおしえこむ。
「ふつう」の家族生活をしらず、
機転のきくすばしっこさだけで生きてきたニールは、
やがて大学院でまなぶほどのわかものに 成長していった。

「スコッチでいいんだな。いや、礼には及ばん。
 ソーダ、それとも、水で割る?」
「どっちも要りません」
「氷は?」
「五年生の理科の授業で、キャンベル先生から、
 氷は溶けると水になるって教わりました」

「チェイス婦人は可憐な女性で、
 ニールにその可憐さを印象づけるのに必要な時間よりも
 一秒だけ長く、戸枠の中にとどまった。
 たぶん、こうした登場のしかたに慣れているのだろう」

よみはじめてしばらくは、
ニールくんの軽口にどれだけつきあえるかが、
この本をたのしめるかどうかのわかれ目だろうとおもった。
だんだん肌になじんできて、まちがいなくおもしろい本だということがわかってくる。
60ページほどよんだところで、ぜんぶよむのはやめ
(出発までに まにあいそうにないから)、
今回の旅行にもってきた。
おもしろさが保障つきのぶあつい本くらい ありがたいものはない。

ニールがどうグレアムにそだてられたかが興味ぶかいし、
議員の娘をさがしにイギリスへわたってからも
めまぐるしく状況がかわってゆき、ハラハラさせられっぱなしだ。
相手をどうひっかけて目的をはたすのかに目がはなせない。
こんなにおもしろい本をしらなかったなんて、
だから読書はやめられない、といういい例だ。

訳者あとがきによると、
この本はドン=ウィンズロウ氏の1冊目ということで、
ほかにも6冊が文庫化されている。
ケアリーくんものも、シリーズになっているそうだ。
『卵をめぐる祖父の戦争』(デイヴィッド=ベニオフ)以来、
ひさしぶりにミステリーのたのしさを たっぷりあじわえた。

posted by カルピス at 12:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月25日

旅行12日目 バイクでワット・プー見学

ゆうべ、イギリス人旅行者のピーターとなかよくなった。
彼は日本語を勉強中ということで、
はじめて実践した相手がわたしなのだそうだ。
たどたどしくはあるけど、じゅうぶんにわかる日本語で、
わたしのたどたどしい英語とあわせると
ちょうどいいかんじでコミュニケーションがとれる。
彼の日本語は「◯◯ですか?」と、ていねいなはなし方なので、
こっちもつられて 敬語になり、
まるで「ジャック&ベティ」の会話みたいだ。

きょうワット・プーへいく、というと、
自分もいきたい場所だという。
ゲストハウスでバイクをかりて、いっしょにでかけることになった。
オートマチックのバイクが10万キープ、
マニュアル車は6万キープ(およそ750円)だ。
もちろんギアがあったほうがたのしいので、
わたしにはありがたい値段設定だ。
ホンダの100ccのバイクで、4速まできりかえられる。
ワット・プーはパクセーから45キロほどのところにあり、
道もわりあいかんたんだった。
信号がなく、いきかう車もすくなくて、
すごくたのしいツーリングとなる。
ベトナムでもラオスでも、バイクは生活にかかせないのりものとして、
子どもでも、女性でものっている。
スイスイはしっているバイクをみていると
こっちまでのりたくなるので、
きょうのツーリングはうれしい機会となった。
信号だらけ、車だらけの日本よりも、
バイクはこういう場所でのるほうがずっとたのしい。
ピーター.jpg
ワット・プーはアンコールワットにくらべると ずっとちいさく、
みていてあまり興味がわいてこない。
チャムの歴史を まったくしらないのがよくないのだろうけど、
アンコールワットは、しらなくても そのすごさに圧倒されたことをおもうと、
どうしても ものたりなさをかんじてしまう。
併設されている博物館も あまりよくない展示で、
みているものの気もちを ひきたててくれない。
それでもぜんぶで2時間ほど見学し、またバイクでパクセーにもどった。
ワット・プー.jpg
けさメガネのかたほうのレンズがはずれてしまった。
なおしてもらおうとメガネ屋さんをさがすけど、ない。
ワット・プーからもどったとき、バイクでもういちどさがそうとしたら、
ピーターが自分もつきあうので、
バイクをゲストハウスにもどしてから あるいてまわろうといってくれる。
べつのホテルのレセプションでたずねると、
紙に住所と店の名前をかいておしえてくれた。
この町には、そのお店1軒しかメガネ屋さんがないという。
おおきな町なのに、メガネ屋さんがなぜそんなにないのだろう。
あるいていても、たしかにメガネ屋さんをみかけない。
けっきょく1時間くらいあるき、なんどもひとにたずね、
ようやくメガネ屋さんにたどりついた。
いくら請求されるかヒヤヒヤしていたら、なんと無料だという。
ピーターは、イギリスでもこういう場合は無料だというので、
メガネについては、こまっているものはおたがいさま、という
世界共通のとりきめがあるのだろうか。
とにかく たすかった。

posted by カルピス at 20:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月24日

旅行11日目 パークセーにもどる

きょうはパークセーの町にもどる移動の日。
香港からきたという女性と、
シンガポール人夫婦といっしょにボートをまつ。
この2組とも退職者ということで、
年配の方が、こうやってゆっくり旅行をたのしんでいる。
そういえば、欧米からきている旅行者も、
若者ばかりではなく、けっこう歳がいってるひともおおい。
日本人はことばが障害となり、どうしてもお金たくさんはらって
団体だったりガイドつきだったりのツアーをえらびがちだ。
ことばがつうじないのは、ほんとうに不自由なので、
それもしかたのないことかもしれない。

香港でこのまえまでおこなわれていた
自由化のデモで、たくさんのテントがたてられて
道路を封鎖していたのが印象にのこる。
なんで香港に あんなたくさんのテントがあったのだろう。
わざわざかったともおもえないし、
香港のまわりにキャンプする自然公園がたくさんあるともきかない。
香港からきた女性旅行者にたずねてみると、
「あれはもうおわった」とあんまりデモについて
はなしたくないみたいだ。
テントについても「リフレッシュのため」とそっけない。
デモに反対の立場のひとなのかもしれない。

パークセーにむかうバンのなかで、
フランス人の男性がフランス人の女性に
ガイドブックをみせてくれとたのんでいた。
それをきっかけに、延々とはなしをつづける。
ものすごいはやくちで、あれで よくはなしがつきないものだ。
1時間10分たって、やっととぎれたとおもったのに、
すぐまた再開する。さすがにフランス男だ。

パークセーでは「ナングノイ ゲストハウス」にはいる。
コーン島のゲストハウスでいっしょになったギリシャ人のカップルが
おすすめの宿として おしえてくれたのだ。
わたしがパークセーでの第1夜と2夜をすごした「チャンパホテル」は
旅行するのに不便な場所だったけど、
この地区は ちかくにほかのゲストハウスもあって
旅行の情報があつまりやすそうだ。
ホテルでも長距離バスやツアーの予約をあつかっている。
きょうはクリスマスで、ラオスのひとや、
旅行者がどううごくのか心配だったけど、
2日とまれることになった。
町なかにあるのにしずかで、ロビーもくつろげそうだ。
なによりも、部屋に蛍光灯があり、
じゅうぶん本がよめるあかるさなのが ありがたい。

パークセーであとやりたいのは
「ワット・プー チャムパーサック」へいくことだ。
チャムの遺跡があるところで、
ツアーに参加しようとしたら、
人数におうじて料金が設定されており、
1人しか参加しない場合は22万5000キープ、
もし7人以上あつまれば10万キープというから
かなり差がある。
もうひとつの手としては、バイクをかりて自分で運転すれば
6万キープですむ。
いちにちバイクをかりて1000円ならやすいものだけど、
右側通行の国で、道もよくわからないのにバイクにのるのは
ためらってしまう。
今夜かんがえよう。

ゲストハウスをでて散歩していたら、
タコヤキみたいなおかしや、ドーナツ、フー(うどん)が目につき、
そのたびにすこしずつかって味をたしかめる。
そうなるとコーヒーものみたくなり、カフェにはいった。
パークセーにちかいボーラヴェン高原は、お茶とコーヒーでも有名なのだそうで、
カフェでモカをたのんだら
コンデンスミルクたっぷりのラオス式コーヒーではなく、
カフェラテみたいに もようをつけてくれた。たしかにおいしい。
パークセーのコーヒー.jpg
旅行のあいだも禁酒をつづけている。
ビールの大ビンが1万キープ(およそ125円)とお茶とかわらないので、
ついのみたくなる。
村上春樹の小説をよんでいるせいかもしれない
(『羊をめぐる冒険』・『ダンス・ダンス・ダンス』)。
この半年間、お酒がほしいなんて ほとんどおもわなかったのに、
ハルキ小説の影響はすごい。
土地のひとも旅行者も、そこらじゅうでビールをのんでおり、
ビールくらいどうってことないよ、とあまいことばが あたまからはなれない。
あわせてよんでいる『ストリート・キッズ』には
ヘロイン中毒の女性をたちなおらせる場面があり、
その禁断症状はそうとうくるしそうだ。
それにくらべたら ビールをがまんするくらい なんでもないとおもうことにする。

あさっての夜にのろうと、ビエンチャンゆきの夜行バスを予約する。

posted by カルピス at 20:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月23日

旅行10日目 コーンパペン滝の迫力におどろく

8時にゲストハウスを出発し、ボートで対岸のナーカサンへ。
ナーカサンからトゥクトゥクでコーンパペンの滝にむかう。
東南アジアでいちばんおおきな滝ということだ。
公園のいりぐちからみると、たいした迫力ではない。
きのうみたソムパミッドの滝とたいしてかわらないじゃないか、
とおもっていたら、ちがった。
べつの場所からみると、これはほんとに ものすごい。
貧弱な表現力をはじるしかないけど、すごいということばしか おもいうかばない。
滝のすぐちかくにいって写真をとっている旅行者がいたので、
わたしもそこへいってみた。
こんなあぶないところが、なぜ立入禁止になっていないのか、
「Danger!」とかかなきゃダメだろう、というくらい、
あぶない場所なのに、写真をとる絶好のスポットになっているようだ。
そこから滝をみていると、時間がとまったような、すいこまれそうな、
おかしな心境になる。
これは、たしかにみる価値のある滝だ。
コーンパペンの滝.jpg
コーン島にかえるボートがいくらまってもこない。
わたしはかなりの心配性で、
旅行しながら心配ばかりしていて自分でもかなしくなるけど、
こんどばかりはわたしの心配があたった。
チケットうりばできいてもダメだし、
旅行会社の窓口みたいなところでもラチがあかない。
しつこくたずねると、ようやく確認の電話をいれてくれ、
1時間40分まってようやくコーン島ゆきのボートにのる。
ゲストハウスまでもどるとすぐまえのレストランでひるごはんにする。
ヤキソバとマンゴーサラダを注文した。
マンゴーの実をつかったサラダのつもりでたのんだのに、
わかいマンゴーをキュウリみたいにおろしたものだった。

すこしやすんでから、自転車をかりてデット島までいってみる。
自転車のカギがついてないので、「カギは?」とたずねてもつうじない。
自転車に、いちいちカギなんてしない村なのだ。
島に坂道はなく、ガタゴト道をすすんでいくと30分で船着場にでた。
はじめてデット島についたときは、ここでもいいかとおもったくらい
しずかでいいところにみえたけど、
コーン島とくらべるとだいぶおちる。
たった3日でも、すめばみやこになってしまった。

コーン島とデット島をむすぶ橋のうえから夕日をながめる。
夕日をみていると、はやくしずんでほしいような、ほしくないような、
せつない気もちになってくる。

たのんでいた洗濯物がとどけられた。
洗剤のにおいがすごい。
そういえば、椎名誠さんがメコン川のながれる地域を旅行した本に、
洗剤のにおいがなんとか、とかいてなかったか。
ネットでしらべると『メコン・黄金水道をゆく』(集英社文庫)だった。
たのしみにしていたのに、内容はたいしたことなかったようにおぼえてくる。
今回のわたしの旅行とコースがかさなっているので、
出発するまえによみかえしておけばよかった。
キンドルからもだされているけど、
データー量がおおいらしく、
ゲストハウスのWi−Fiにはおもすぎるとおもうので、ポチッとするのはやめた。
この本で椎名さんは、ラオス・カンボジア・ベトナムと、
メコン川にそって旅行している。
きょう見学したコーンパペンの滝もメコン川の支流なわけで、
メコン川には、なにか みるものの気をひく魅力がある。
どうしたらこんなにたくさんの水があつまるのか しんじられない。

本についていえば、
ひるまは『ストリート・キッズ』(ドン=ウィンズロウ)を、
くらいところではキンドルで『羊をめぐる冒険』(村上春樹)をよんでいる。
ひとりでさみしい時間がおおく、そんなときには
村上春樹の小説がストンとはいってくる。
『羊』のつぎは『ダンス・ダンス・ダンス』につづけてすすみそうだ。
宿に読書灯などないので、くらくてもよめるキンドルはとてもたすかる。
旅行にでるまでは、自炊した本をまともによんだことがなかった。

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2014年12月22日

旅行9日目 コーン島をあるいて一周する

デット島とコーン島をむすぶ橋のたもとにある食堂で朝ごはん。
通学する子どもたちがあさひをあびて橋をわたっている。
橋のしたは、メコン川がかなりのはやさでながれている。
コーン島の橋.jpg
コーン島は2つの滝と、2つのイルカ見物のボートのりばが
観光スポットとなっている。
きょうは島一周をあるきながら、この4ヶ所をまわろうとおもう。
ゲストハウスや食堂のあちこちでレンタサイクルがおいてあり、
いちにち1万キープ(およそ125円)でかりられる。
はじめその自転車で島をまわろうとおもったけど、
あんまりかんたんに一周できてはおもしろくないので、
ここはあえて あるくことにする。

はじめの目的地はソムパミッドの滝で、
ゲストハウスを出発してから30分ほどでついた。
そのあたり一帯が公園になっていて、
水牛がやたらとあるきまわっている。
滝はすごい迫力だ。
日本でいう「滝」というよりも、
川が大水でいきおいをましている場所、というかんじ。
乾季だというのに、なんてけたはずれの水量だろう。
ただただ、おそろしさをかんじてしまう。
ソムパミッドの滝.jpg
つぎに、イルカをみれる場所までボートでつれていってくれるという
(もちろんお金がかかる)ターコーンニャイ船着場へ。
島にはアスファルト道路がなく、
いなか道をあるくのがたのしい。
車はとおらないし、木々がひかげをつくってくれるので、
ぜんぜんあつくない。
ここへもわりあいすんなりつく。
岸が砂丘になっていて、観光客が写真をとっていた。
ともったら、わたしがとまっているゲストハウスで、
となりの部屋にいる夫婦だった。
もうなんにちもこの島ですごしているそうで、
ゆうべ「あしたはなにをしますか?」とたずねたときに
「んー、わからない」といっていたのに、
まさかその彼らに こんなところであうなんて。
田舎道.jpg
そこからつぎの船着場までがたいへんだった。
森の小道をただひたすらあるく。
いくらあるいても だれともであわない。
もともと交通量がないし、あるいて移動するひとなんていないのだ。
やっとついたところは、メコン川がみえるだけで
(島だから、まわりはメコン川にかこまれている)
とくにどうということはない。
ここまでくるのに3時間かかっており、
いいかげんつかれていたけど、そのままつぎの目的地である
コーンパイソーイの滝をめざしてすぐに出発する。

これもまた森の中の道で、
ほそぼそとした小道がいつまでもつづいている。
えだわかれしていないので、まようことはないけど
橋がこわれていたり、ただ材木がわたしてあるだけの「橋」だったりして
いつまでたっても滝があらわれない。
つかれたし、もっていた水がなくなってきたので、
どうなることか心配しはじめていたら、
むこうから旅行者がやってきた。
滝の方向をたずねたら、スマホをみておしえてくれた。
ついた滝は、たいした規模ではなかったけど、
とにかくあるいてたどりつけたことをよろこぶ。
そこからゲストハウスへは、30分ほどでかえれた。
全部で4時間の散歩になり、かなりつかれたけど、
ひさしぶりのいい運動になった。
東南アジアでいちばんという、コーンパペンの滝へも
できればきょういこうとおもっていたけど、
つかれたのであしたにする。

コーン島では、犬がのびのびとすごしており、ネコもたくさんいて、
アヒルやニワトリがそこらじゅうをあるいている。
外国人もたくさんいるけど、のさばっているふうではなく、
ここの風景をありがたくいただいているようにみえる。
きのう・きょうと あるいてみて、あらためて いい村だとおもう。
日本は観光客がたくさんきてくれるための政策をかかげ、
1000万人をこえたとよろこんでいた。
大都市や京都などのいわゆる観光地だけでなく、
コーン島みたいに、その土地ならではの自然をいかした観光にも
とりくんでいくのだろうか。
コーン島には、外国人がよろこぶ ラオスならではの魅力がたしかにある。
日本のいなかは、どんなふうに魅力をしめせるだろうか。

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2014年12月21日

旅行8日目 くつろげそうなコーン島につく

予定どおり8時20分にむかえの車がホテルにきた。
旅行者がでいっぱいの車にのりこんで
シーパンドーンゆきの中間点であるナーカサンをめざす。
2時間半ほどでついた。そこの船着場から
ボートにのってデット島へ。
シーパンドーンとは、4000の島という意味らしい。
名前どおり、たくさんの島(というより草のかたまりみたいなうき島)が
メコン川にうかんでいる。
観光客がおとずれるデット島とコーン島はそのなかにあり、
わたしはコーン島にいくつもりだったのに、
まちがえてデット島ゆきにのってしまった。
島についてからバイクタクシーにたのんでコーン島へまわってもらう。

デット島も雰囲気はわるくなかった。ゲストハウスがならんでいて、
でも、よくあるような傍若無人なさわがしさはなく、
旅行者もおちついた時間をたのしんでいるようにみえる。
バイクタクシーにつれていってもらったコーン島はさらにしずかで、
これはいかにもくつろげそうな場所だ。
きのうサイトでみた「PAN'S GUEST HOUSE」にはいる。
バンガロー風で清潔な部屋が10万キープ(およそ1250円)だ。
DSCN1678.jpg
このゲストハウスは、AKIさんのサイトにのっていた。
http://vietnam-navi.info/article/viet-lao-touring-11
AKIさんはホーチミンにすみ、
バイクでベトナムやラオスをツーリングしたときのようすを サイトに紹介している。
バイクでまっくらな しらない道をはしっても、
ガソリンではなくまちがえて軽油をつがれても、
あわてないし、おちこまない。
なにを体験しても「最高です」と、
まえむきにうけとめる。
感謝する気もちがそうさせるのだろう。
こういうサイトをよむと、旅行をするにも参考になるし、
生き方としてもみならいたいとおもう。

部屋がきまるとすぐにシャワーをあびて、
洗濯物をゲストハウスにだす。
2日分の洗濯と、1週間あらってないジーンズが気になっていたのだ。
わたしの旅行は そんなこまかいことばっかりだ。
ゲストハウスがやっている食堂でひるごはんをとり、
部屋にもどって本をよむ。
ここならわたしも「最高です」とAKIさんみたいにいえる。
でも、こんなことがしたくてわたしは旅行にきたのか。
ゆっくりかんがえてみよう。

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2014年12月20日

旅行7日目 あすのシーパンドーンゆきを予約する

きのうながいあいだバスにのったので、
きょうはさすがに移動する気になれない。
ガイドブックをみると、自動車で3時間ほどのところに
メコン川をのぞむ「シーパンドーン」(4000の島)という場所があるそうで、
あしたはそこへいくことにする。
わたしがしらなかっただけで、パークセーは南部ラオスの中心地なだけでなく、
観光でもしられた町のようだ。
予約をしようとするけど、わたしがはいったホテルでは英語がつうじない。
ホテルにはりだしてある旅行会社のパンフレットをもって、
バイクタクシーで予約しにでかけた。
日がえりツアーは定員があつまってないので
あすは出発しないという。
日がえりでなくて、むこうにのこるから、というと
それなら問題ないそうで、7000キープ(およそ900円)のバス代だけをはらった。
このラオスの通貨:キープは、
ベトナム:ドンとおなじように単位がおおきいので、
しはらうときに、たかいのか やすいのかよくわからない。
今朝ホテルで2泊分の2万6000キープを100ドルでしはらったら、
サイフがぶあつくなるほどの紙幣がおつりとしてもどってきた。
ついでにいうと、ラオスの地名もわたしはなかなかおぼえられず こまっている。
シーパンドーンへは、まずナーカサンへいって、
そこから船でデット島かコーン島へいくそうで、
ちかくにあるコーンパペンの滝も有名だという。
それらの名前が、すんなり頭にはいらない。

わたしがはいったこのホテルは町のはずれにあり、
旅行者があつまる地区から かなりずれている。
ことばがつうじなくてこまるし、食事をとるにも不便な場所だった。
まあ、夕べはこのホテルがあって すごくたすかったのは たしかだし、
すべてがうまくいくわけではないので しかたない。
ひとつラッキーだったのは、ホテルにネコがいついていることで、
夕べわたしが屋台でごはんとおかずをかってきて ロビーでたべていたら、
そのネコがたべものをねだってきた。
おかずとしてかったゆでタマゴは、おもっていたものとはちがい、
カラをむいたら ヒヨコになりかけの鳥がはいっていた。
すこしたべたけど、気もちわるいので そのネコにあげるとよろこんでくれた。
お腹がおおきいから妊娠してるみたいだ。
ヤキトリとごはん(もち米)もあげると それもたべた。

パークセーはベトナムとちがっていまは乾季であり、
いつもおひさまがでている。
むしあつくはなく、朝や夜はすずしいくらいだ。
ホイアンもわるくはなかったけど、
ずっとどんよりとしたはだざむい日だったので、
いいかげんおひさまがこいしくなってきた。
外で本をよむ気にならないくらいくらかったのだ。
まあ、そのうち あつくてたまらない、なんて
いいだすにきまってるけど。

パークセーの気候とけしきのなかにいると、
まるでタイの北部みたいな気がしてくる。
ベトナムからついたせいで、わたしとしては はるばるラオスにきたつもりでいるのに、
ここでもたくさんの旅行者を町のあちこちでみかける。
タイでもベトナムでも、そしてラオスでも、
どこにいっても白人旅行者がいないところはない。
ヨーロッパの各国から、わかものがいなくなってしまうんじゃないかと
いう気がしてくる。

【きのうの移動(ホイアン→パークセー)で印象にのこったこと】
・ダナンでみかけたフィットネスクラブ
 朝5時半に、フィットネスクラブで、
 2人がトレッドミルのうえをはしっていた。
 もちろんベトナムのひとも健康のためにはしるだうけど、
 ベトナムの地方都市にすむひとが、日本人とおなじように
 こんな朝はやくのフィットネスクラブではしるなんて
 わたしにはピンとこなかった。
 ここらへんが、わたしの思考のせまさだともおもった。

・ラオスゆきのバスに、お客が2人しかいなかったこと
 ダナンから出発したバスには、わたしをいれてお客が2人だった。
 昼ごはんは、バスのスタッフ3人と、お客2人で
 まるいテーブルをかこんでおかずをつつきながらたべた。

・アンナン山脈をこえるとお天気になったこと
 ベトナム側ではぐずついた天気がつづいていたのに、
 アンナン山脈のふかい山々をこえると、
 そこは乾季のラオスだった。

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2014年12月19日

旅行6日目 ラオスのパクセーへ

きょうはラオス南部になる町、パクセーへの移動の日。
予定どおり朝5時にむかえのタクシーがきてくれた。
それにのって、まずダナンにむかい、そこからバスでパクセーへ。

とかくとかんたんそうだけど、なかなかたいへんな日だった。
5時にホテルをでたのに、パクセーについたのは夜の9時すぎと、
16時間の移動となったのだ。
とちゅうまでは順調だったけど、
パクセーにつくまえに、どこかの町でおろされ、
べつのバスにのりかえる。
パクセーのすぐちかくかとおもって楽な気もちでのったら、
そこからまだ5時間もかかる。
ホイアンからパクセーまでのつづきでチケットをかったつもりなのに、
そのバスではお金をはらえといわれる。
まだ両替してないのでラオスの通貨であるキープをもってない。
ベトナムのお金しかないといったら ドンをうけとってくれた。

まわりはだんだんくらくなり、いつまでたってもパクセーにつかない。
お金はないし、なければ夕ごはんがたべれないし、と
あれやこれや心配しながらミニバスにゆられる。
とちゅうで しょっちゅうひとがのりおりをすることもあり、
なかなか行程がはかどらない。
自分がいまどこらへんにいて、
いまいるのはなんという町なのかがわからないのは
おちつかない気分だ。
ちゃんと地図を手にいれてバスにのればよかったと 後悔する。

それでも夜9時すぎに、ぶじパクセーにつく。
ホテルもあった。ドルでうけとってくれるという。
17ドルで、部屋もわるくない。
これからドルでたべれる店をさがして夕ごはんにする。
13時間バスにゆられたことになり、
旅行らしい日となった。
こまかいことはまたあしたかこう。つかれた。

posted by カルピス at 23:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月18日

旅行5日目 ホイアン観光 ラオスゆきのバスを予約する

ジョギングをおもいたち、ホテルのちかくを30分弱はしる。
外国ではしるときは、野良犬に気をつけないと
ほえられたり おいかけられたりする。
さいわいホイアンの犬はよくしつけられていて、
いちどもいやなおもいをしなかった。
はしってかるく体操すると、からだがととのえられた気がする。
日本だとウォーキングをしてるひとがたくさんいるけど、
ここでは外国人がひとりはしっているのを みかけただけだった。

ホイアンの旧市街をあるいてみる。
観光名所にはいるには、チケットをもとめるやり方で、
あらかじめ5枚つづりの券をかうことになる。
といっても、そういう場所にはいらなければ チケットは必要ない。
有名な日本橋も、わたらなければお金はかからないし、
わたったところで特別なものがあるわけではない。
2014-12-18 12.14.29.jpg
市場がいちばんおもしろかった。
食堂もたくさんはいっていて、名物のラオカウをさかんにすすめられる。
せっかくだから注文してみた。
さむい日だったので、あたたかい汁をすすれるうどんかとおもったら、
メンに具をのせてある料理で、さむさしのぎにはならない。

かえりに川ぞいにあるカフェによった。
店の女の子が、とおりすぎる観光客に
「ヘロ〜、ルッキングメニュー、プリーズ」と
めんどくさそうに声をかけている。
やる気がないなら、だまっていたらいいのに、
声だけはまめにかけている。
かわいい顔と、めんどくさそうな態度がアンバランスで、おもしろかった。

きのうから、まったく はだざむい。
半そでシャツにレインコートをはおったぐらいでは まださむく、
日本においてきたマフラーと手ぶくろがほしくなった。
もっとも、ネットをみると日本はつよい冬型のさむさがつづいているようなので、
これくらいの「はだざむさ」は 冬だからしかたがないと がまんしよう。

ラオスゆきの予約をホテルでもできるというので、
あすの朝のバスでラオスの南部にあるパークセーにむかうことにする。
日本円で6000円くらい。
梅棹さんたちがおとずれたサワンナケートへのバスは、
週に2便しかないというのであきらめる。
朝5時に むかえの車がホテルにくるそうだ。
予約をしながらも、そんなにスムーズに予定がうごく気がしない。

posted by カルピス at 15:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月17日

旅行4日目 ベトナム中部の町、ホイアンへ

きのうはホーチミン市からホイアンに移動する日。
おひる12時5分発の寝台車にのって、まずベトナム中部にあるダナンをめざし、
そこからホイアンへのバスにのる予定(ホイアンには鉄道駅がない)。
ホテルからサイゴン駅にタクシーでむかうとちゅう、
なぜだかきゅうにパスポートがないことをおもいだした。
ベトナムのホテルは チェックインのときに
パスポートをだすようにいわれる。
それをうっかりうけとらないまま タクシーにのったのだ。
とちゅうでおもいだしたからよかったけど、
列車にのるまで気づかなかったら、かなりがっくりきてただろう。

ダナンへの寝台車は、4人用のコンパートメントに
はじめからベッドがセットしてあった。
わたしのチケットには上の段がしめされており、
ずっと上のベッドですごさないといけない。
そとのけしきをながめようとすれば、
コンパートメントからではなく、通路にでなければならず、
それもまた車掌さんは歓迎してないようにみえる。
よこになったまま18時間をすごすのは
あまりたのしい状況ではない。
旅行にでるまえに、蔵前仁一さんが「シベリア鉄道」にのった本をよんだ。
2,3日ずっと列車ですごすのは たとえ覚悟ができているとはいえ、
たいへんだったろうと想像する。
18時間のって、まだ半分のダナンであり、
ハノイまではもうあとおなじほどかかる。
ベトナムがどれだけほそながい国かをおもった。
ベトナム戦争のときは、この距離をものともせず
物資を北から南にはこびつづけたのだ。

列車ですごすあいだ、食事をどうしようかとおもってたら、
ワゴンがまわってきて4万ドン(200円)のお弁当にありつける。
のみものやおやつのワゴンもまわってくるので、
たべものにこまることはない。

列車は定刻の12:05に出発し、10分おくれの今朝6時15分に ダナンについた。
ほぼ時刻どおりで列車がうごくのは、ベトナム人の勤勉さをあらわしているのではないか。
雨がふっている。
ダナンからホイアンへはローカルバスで、とおもっていたけど、
バスのり場をさがすのがめんどうなので、
「10ドルでミニバス」と
客ひきがさそうままについていく。
バンに10人ほどの旅行者がのりこんだ。
30分ほどでホイアンにつく。
ホテルもバンの運転手がつれていってくれた。
されるがままで、あまりにも主体性のない旅行者ぶりがなさけない。
すべては雨のせいと おもうことにする。
ホテルは1泊20ドルという。ためらっていたら
朝食ぬきで17ドルはどうだ、といってきた。
ホテルの朝ごはんに興味はないので、そこにきめる。

ところで、わたしはキンドルに梅棹忠夫さんの
『東南アジア紀行』をいれてきた。
今回は、その下巻をよみながら移動している。
ちょうど梅棹さんたちの一行がホイアンにつき、
そのあとアンナン山脈をこえてラオスにはいるところをよむ。
いつもながら 50年もまえに、これだけ歴史と風俗をおさえた旅行記がかかれたことに おどろかざるをえない。
ホイアンは、むかしに日本人街があった町で、
日本人がつくったという橋や、日本人の墓地があるそうだ。
梅棹さんは、ホイアンの町をこうあらわしている。

「いままで見たベトナムのどの町よりも
 好ましい落ちつきと美しさがあった。(中略)
 ここに来てはじめて、本来のベトナムの都市を見たと思った」

そのまちが50年をへて、どうかわっただろうか。
ひるまえから2時間ほど町をあるいてみる。
ホイアンは、ふるい町なみをうりものにした観光地で、
萩をもっとごちゃごちゃしたような印象だ。
布製品で有名らしく、服をうるお店がたくさんならんでいる。
観光でたべていこうときめたようで、
町をあげて観光客をよびこもうとしている。
ものすごい数の外国人観光客がとおりをあるいている。
ホーチミン市のやかましさとはくらべようがないけれど、
梅棹さんのいう「好ましいおちつきと美しさ」は、
ざっとあるいたかぎり もはやかんじられない。

posted by カルピス at 15:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月16日

『本の雑誌 1月号』と『おすすめ文庫王国 2015』(本の雑誌社)

『本の雑誌 1月号』と『おすすめ文庫王国 2015』

旅行には、たのしみにしていたこの2冊をもってきた。
発売日と出発日がぴったりかさなったのだ。
『本の雑誌 1月号』には今年のベスト10が、
『おすすめ文庫王国 2015』は文庫本のベスト10がのっている。
わたしは新書以外 ほとんど新刊書をかわないので、
ほんとうのところ、今年のベスト10は あまりピンとこないもよおしだ。
じっさい、ベスト10に1冊もひっかからなかったばかりか、
ベスト10をきめる座談会でとりあげられた本も
しらないものばかりだった。
本がすきといっても、わたしの読書はその程度のものだと いつもおもいしらされる。

その点『おすすめ文庫王国』は、もうすこし直接わたしの読書にかかわってくる。
なんといっても文庫本なので手をだしやすいし、
文庫本になる時点で 時間と人気のふるいにかけられており、
おもしろさがある程度やくそくされている。
「おすすめ文庫王国」がなければ まずであうことのなかった本もおおく、
わたしにはありがたいブックガイドとなっている。

『本の雑誌 1月号』でおこなわれるベスト10とおなじように、
文庫本について、総合ベスト10と、
現代文学・恋愛小説などのジャンル別にベスト10が発表される
(担当者が自分のこのみをかくだけだけど)。
わたしがたのしみにしてるのは「オリジナル文庫大賞」で、
この賞は単行本になることなく、
はじめから文庫本としてつくられた本を対象におくられる。
文庫本は「時間と人気のふるいにかけられている」とかいたばかりだけど、
いきなり文庫本といういさぎよさに わたしはひかれる。

「おすすめ文庫王国」は、もうなんねんもつづいているベスト本なので、
シリーズになっている企画もおおい。
出版社をJリーグにみたてての「文庫Bリーグ」と、
文庫本の年間うりあげについて書店員がはなしあう企画は、
今年1年のまとめにもなっていて、
どんな本が話題になったかをふりかえることができる。
資料的にも参考になり、何年たってもその1年がどんな年だったかをおしえてくれる ありがたい企画だ。

ことしの『おすすめ文庫王国』も、おおくのきいたことのない本が
ベスト10としてのこった。
ただベスト10が発表されるだけでは、あまりかう気にむすびつかないけれど、
ここでは参加者が自分の推薦本についてあつくかたるので、
こちらまでどうしてもよみたくなってくる。
こうしてみると、ベスト10をきめるのはたいへんな仕事だ。
いっけんテキトーなはなしあいや、
声のおおきさできまる典型的な職場の会議におもえるけれど、
どんな本をすすめるかで、自分のすべてが評価される場でもある。
1年いちねんの座談会はどうということのない書評会にみえても、
なんねんかをとおしてよむと、そのひとの読書力が、
すくなくとも自分とかさなるかどうか わかるようになる。
この何年かで杉江さんの発言力がたかまっており、

「ダントツですよ。これが一位にならなければ、
会社と喧嘩して首になった出版社の人になります」

などと、かけひきもじょうずになっている。
ここまでいわれると、よむ側としてはかわざるをえない。
杉江さんは『本の雑誌 1月号』の座談会でもじょうずに全体をリードして
自分の推薦本を一位にねじこんでいるからたいしたものだ。
本にかける杉江さんの熱意をわたしはたかく評価している。
とはいえ、杉江さんのこのみとわたしとでは、
かなりのちがいがあるのがわかってきたので、
杉江さんの推薦本とじっさいにわたしがかう本が、
まったくかさなるわけではない。

posted by カルピス at 11:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月15日

旅行2日目 ベトナム人の商売魂におどろく

きょうやりたいことは3つあった。

・ホイアンゆきの予約
・マッサージ
・散髪

きのうの移動でつかれており、
午前ちゅうは なにもする気になれない。
この、「なにもする気になれない」というのは
わたしのとくい技で、しかもそれは梅棹忠夫の本からまなんだものだ。
わたしはこの「なにもする気になれない」の場面が
大すきで、まえにもブログにかいたことがある。
あの梅棹さんですら、そんな心境のときがあるのだから、
いわんやわたしにおいてをや。

アフガニスタンでの探検で、梅棹さんは輸送部隊の荷物をまつあいだ、
なんにちかを仲間とともにテントですごしている。

「わたしは、何もする気もしない。
 したらよいと思うことはたくさんある。
 日記の整理も必要だ。
 植物採集もしなければならない。(中略)
 やればいいことはわかっている。
 わたしはいま、馬力がない。
 いまは何もしないことにきめる。
 みんな後まわしだ。また機会があるだろう。
 いまは『スリーピング・アンド・イーティング』だ」
(『カブール族探検記』)

わたしもまた、さむい日本から30℃の国にきたのだから、
からだはすぐに適応できないだろう。
せっかくベトナムにきているのだから、
市場をたずねたり、サイゴン川のほとりを散歩したりと、
やればいいことはたくさんある。でも、その気がおこらない。
わたしも梅棹さんにならって「スリーピング・アンド・イーティング」しかする気になれない自分をせめないことにする。

ホイアンへの予約は、いまいるホテル(といってもすごくちいさなホテル)
にはいっている旅行会社にきいてみた。
ブイビエンという、旅行者のあつまるとおりにホテルがあり、
そのとおりにはなんでもそろっているので、
その気になれば 全部ここですませることができる。
旅行会社のひとは、iPadで検索してからどこかに電話をかけ、
明日の12:05発の寝台車が5000円であるとこたえる。
おもっていたよりやすいので、その列車でおねがいする。
それがすむと またベッドにもどり、午前はずっとぐずぐずしてすごす。

ひるからうごきだして、近所のマッサージ店にはいった。
どこに旅行しても、わたしはたいていマッサージをおねがいする。
1時間の全身マッサージが1万2000ドン(600円)とかいてあった。
ベトナム式のマッサージは、これといった特徴はないけど、
ずっとなでたり おしたりしてくれて すごく気もちがいい。
これをもとめていたんだ、とまどろみながら
チップをいくらわたしたらいいだろうと計算する。
20万ドン札をわたして、そのおつりから 2万ドンほど「これはあなたに」が スマートだろうか。
1時間のマッサージがおわると、
担当してくれた女性が紙きれをもってきて なにかかけという。
アンケートかな?とおもって よくみると、
チップをいくらわたすかにチェックするようになっている。
チップ分がその女性にわたるしくみかもしれない。
3ドル・5ドル・10ドルとあるので、5ドルのワクにチェックをいれた。
かんがえてみたら、600円のマッサージに
おなじほどのチップをわたしたことになる。
ベトナムの通貨・ドンは単位がおおきくて(1万ドンがおよそ50円)
たかいのか、やすいのか、
ついたばかりの旅行者にはピンとこない。

散髪は、ホテルのちかくにあるお店にはいった。
いくらかたずなると 4万ドン(200円)だというので 安心してイスにすわる。
お店のひとは、なにもいわずに髪をきりはじめる。
なにかきかれてもこまるのだけど、
あんまり大胆にやられてはこまるので
ヒヤヒヤした。
ざっと髪をきると、ヒゲもあたってくれる。
なかなかいいサービスじゃないかとおもっていたら、
顔にクリームをぬられ、パックみたいなことをされた。
べつのスタッフが、ツメもととのえてくれる。
耳のあなのそうじもはじめようとするけど、
これはくすぐったくてきらいなのでことわった。
そのあとシャンプーもする。
こりゃ4万ドンですむわけないな、とおもっていたら、
そのとおり、20万ドン(1000円)といわれた。
必要かどうかを客に確認しないでサービスをどんどんすすめるから、
なんだかふにおちない。
ベトナム人の旺盛な商売欲にかかると、
おひとよしのジャパニーズなんて いくらでもお金をむしりとられてしまう。

マッサージにしても散髪での追加サービスにしても、
けして手をぬいているわけではなく、
ていねいに、熱心におこなわれる。
きっと、ベトナムのひとは ものすごく勤勉なのだ。
1000円ほどで、最大限の献身をしめしてくれたのだから、
いい体験ができたことを ありがたくおもったほうがいいだろう。

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2014年12月14日

旅行1日目。米子空港をつかうメリット

心配していた雪も風もたいしたことなかった。
これまでの経験では、大雪の予報があったとき、
いわれるほど つもったことはない。
30センチくらいの大雪は、いつもとつぜんやってくる。
大雪も大雨も、予報があまり参考にならないのは
なぜだろうか。

今回の旅行は、米子空港からソウルのインチョンへとび、
そこからホーチミンというコースにした。
かえりはバンコクからまたインチョンへ、という うごきになる。
松江にすむものにとって、米子空港から旅行をはじめられるのは
とてもらくだ。
関空からのほうが飛行機の便はおおいけれど、
山陰から関空へいくのは たいへんな移動であり、
それだけでつかれてしまう。
自分の車で米子空港へいけば、駐車場にただでとめられるし、
インチョンまで1時間ちょっとしかかからない。
どんな方法で関空へむかうよりも圧倒的にかんたんだ。
ちいさな空港なので、すぐにチェックインできるし、
イミグレーションでもながい列にならばなくてすむ。
冬にあつい国へいくときなど、
家から空港までの服に 気をつかわなくてもいいのも たすかる。
問題があるとすれば、今回のようにつよい寒波がやってきたときで、
あまりないとはいえ、もし雪がつもれば旅行はガタガタになる。

予想していたように、荷づくりはスマートにいかなかった。
カバンは機内にもってはいれるおおきさのものをつかう。
みためにはたくさん荷物がはいりそうなのに、
必要なものをいれていると、すぐいっぱいになる。
ほんとうは、たいして必要でないものがおおいのだろう。
キンドルがあるのに本を10冊もつめたりするほうがわるい。
トートバッグでもちはこぶ分をいれると、全部で12キロになる。
荷物のおおさは運命としてあきらめている。
またやってしまった、というかんじだ。

予定どおり4時すぎにインチョン空港につく。
ついたゲートから電車にのってターミナル駅へむかう。
のりつぎの手つづきをおえ、
まちあいゲートでホーチミンゆきまでの2時間をすごす。
軽食スタンドがいくつもあり、たのしめる空港だ。
Wi−Fiのスピートも もうしぶんない。

posted by カルピス at 17:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月13日

『マダム・イン・ニューヨーク』英語がにがてな日本人むけのインド映画

『マダム・イン・ニューヨーク』
(監督:ガウリ=シンデー・2012年・インド映画)

英語にコンプレックスをもつインド人の女性(シャシ)が、
姪の結婚式の準備にニューヨークをおとずれる。
妻として、母として、家族につくすことで
シャシはしあわせに生きてきた。
しかし、夫も子どもたちも、このごろは なんでもお世話してくれる
便利なお手つだいさん程度にしか 自分をみていないことに、
ものたりなさをかんじるようになる。
以前から英語に にがて意識のあったシャシは、
広告をみたのがきっかけとなり、英会話の学校にかよいはじめる。
クラスメイトといっしょに勉強しながら、
家族だけが自分のすべてではないことに気づく。
そのうえで、家族のかけがえのなさもまた、あらためておもいしる。

英語がにがてなシャシは、ニューヨークについても
自分に自信がもてず、なにをするにも ちいさな声しかだせない。
なんだかわたしの姿をみているようで 身につまされる。
まるで日本人にむけてつくられたような作品だ。

シャシが英語のクラスにかようことをきめたのは、
「4週間で英語がはなせる」と、バスにかいてあった広告をみたのがきっかけだ。
シャシが初日の授業に参加してみると、
クラスのだれもが初心者レベルの英語しかはなせない。
その彼らが 4週間であんなに上達するなんて、というのは日本人のやっかみであり、
シャシのクラスメイトなら、じゅうぶん達成可能なレベルだろう。
なぜなら日本人がいなかったから
(わたしには、日本人以外はみんな 外国語学習の才能があるようにおもえる)。
英会話学校のクラスメイトとの時間はとてもたのしく、
わすれかけていた 生きるよろこびを、シャシにおもいださせてくれた。
フランス人のクラスメイトからは、恋愛感情までうちあけられる。

この作品は、シャシが自信を得ていくものがたりであるのにくわえ、
外国語を勉強するたのしさを全面にうちだしている。
なにかの技能をみにつけるのは、胸のはずむ経験であり、
その最たるものが外国語の勉強かもしれない。
自分のつたえたいことが、だんだんといえるようになるのは
自由を手にいれる過程でもある。
勉強はたのしいものなのだ。
もし環境がととのえば、だけど。
あかるい担任とクラスメイトにめぐまれ、
なによりもシャシのあたたかいひとがらが
クラスを家族みたいにステキな仲間にしていく。

学校の卒業試験が結婚式にかさなって、
まよいながらもシャシは試験をうけようときめる。
でも、当日の朝、アクシデントがおこり・・・。
英会話学校のことを家族にかくしていたシャシは、
結婚式の当日に英語でスピーチをすることになる。
さいごには、なにもかもはなしがうまくまとまり、
インド映画らしくダンスもはじまった。
きわめつけの大団円だ。
ベタなつくりかもしれないけど、
英語へのコンプレックスと、自分に自信をもつというテーマが わたしにもかさなり、さいごまでたのしくみれた。

ただ、『マダム・イン・ニューヨーク』というタイトルには
注文をつけたい。
英語圏ならまだしも、日本のイベントやタイトルで、
やたらとこの「◯◯イン地名」を目にするのはなぜなのだろう。
英語がにがてなはずなのに、日本人がなんでこの表現をこのむのか
わたしには理解にくるしむ。
わたしのアンチ言語帝国主義への意識を刺激する。
そんなことにいちいち目くじらをたてることと、
わたしの英語コンプレックスとは、なにか関係があるのだろうか。

posted by カルピス at 22:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月12日

『メコンの国』(旅行人)国ではなく、メコン川に着目したくくり方がすばらしい

『メコンの国』(旅行人)

旅行にむけて『メコンの国』を図書館でかりた。
「旅行人」がつくったガイドブックの第4版だ。
「旅行人」は雑誌『旅行人』でしられる出版社で、
旅行関係の本やガイドブックもだしている。

『メコンの国』が画期的だったのは、
「メコン」というくくり方にある。
とりあげている地域は
タイ国境・ベトナム・ラオス・カンボジア・雲南省(中国)で、
国ではなく、メコン川がながれる地域が対象となっている。
これらの地域を、1冊にまとめようとした場合、
つい「東南アジア」や「インドシナ」に目をむけやすいけど、
もしマレーシアやインドネシアをいれようとすると、
ピントのぼやけたガイドブックになるし、
インドシナというくくりも、旧フランス領だったことを
強調してるようでおもしろくない。
メコン川に着目したのが、
そのままこのガイドブックの特徴となった。

20年まえだと、対象となる地域のむすびつきがよわく、
自由ないききはできなかった。
それが、いまではラオスから船で雲南省にいけるまで、状況がかわっている。
ちいさな町でしかなかったラオスの首都ビエンチャンは、
いまではメコン経済圏の発展を象徴する都市として
どんどんおおきくなっているようすを、ニュースでもよく耳にする。
「メコン」でくくることにより、これらの地域を
地理的・経済的にひとつのかたまりとする視点がもてる。

ガイドブックとして『メコンの国』がとりあげる情報は、
それぞれの町について

・アクセス
・見どころ
・ホテル&レストラン

が整理されており、ときどき地図がつけられている。
バックパッカーむけなので
高級レストランはナイトライフについての記述はなく、
「地球の歩き方」とくらべると かなりあっさりしたつくりだ。
対象とする旅行者により、必要な情報はちがってくるので、
『メコンの国』にもりこまれる内容はこれでじゅうぶんだ。
編集部は「必要にして充分」なガイドブックをめざしたのではないか。
この第4版が出版されたのは2007年で、
ガイドとしてたよるには情報がふるいので、
今回は 地図だけを参考にさせてもらう。
国境がどんどんひらかれ、メコン川の開発で活気がでてきた2007年当時は、
きっとすばらしいガイドブックとして
おおくのバックパッカーにたよりにされたことだろう。

2ヶ月くらいかけて、この地域を旅行しようという旅行者にとって、
この本1冊で用がたりるくらい よくできたガイドブックとなっている。
もちろんこの本は、メコン川のながれる地域を
いっぺんにみてまわろうと、すすめるものではない。
編集部は、読者に いろいろな地域をすこしずつおとずれながら、
それぞれの特徴をはだでかんじてほしいのだとおもう。
さすがに、「週末にちょっと」とか
「なんとか1週間の有給をとって」というひとは、
「メコンの国」という視点でみる体験にはなりにくいだろうから、
そんなひとには「るるぶ」なんかの方がピッタリくる
(もちろん それはそれで、わるいことではない)。

『メコンの国』は、つくるのがたいへんなわりには
うれるみこみが あまりなかった本ではなかったか。
それが、第4版までだされたのだから、
おおくの旅行者に ひろくうけいれられたのだと想像する。
残念ながら、雑誌「旅行人」は2011年で休刊となり、
この『メコンの国』も、あたらしい版がでるみこみはない。

わたしはまえに病気で入院したとき、
2002年にだされた『メコンの国』の第3版をかって
いつかこの地域をまわろうと ねがっていたことがある。
夢というほど おおげさなものではないけど、
まえからたのしみにしていた旅行であるのはたしかだ。
第3版にも、第4版とおなじ地域がとりあげてある。
しかし、ガイドブックは新鮮さがいのち、という面もあり、
今回の旅行では べつの本をもっていくことになる。
とはいえ『メコンの国』をありがたくおもう気もちにかわりはなく、
興味ぶかいくくり方で ガイドブックをつくってくれた
「旅行人」に感謝している。

posted by カルピス at 22:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする