どうしてもほしくなって、アルマイト製の弁当箱を注文した。
「大」とかいてあるので安心していたら、
とどいたのは わたしがおもっていたおおきさの
半分くらいしかない。
ほぼ日カズンサイズがほしかったのに、
とどいたのは「オリジナル」よりも まだちいさかった。
ちゃんと寸法がかいてあったのだから、
よくたしかめなかったわたしがわるいとはいえ、
ダンボール箱をあけたら、でてきたのがミニチュアサイズだったので
はげしく脱力してしまった。
山田洋次監督が、わらいについて
なにかの本にかいておられたのをおもいだす。
丼もののメニューを、なんでも50円でたべられるお店があったのだそうだ。
天丼でも親子丼でも、とにかく50円。
50円だから、とうぜん それなりの具しかはいっていない。
うな丼を注文したあるお客さんが、
ふたをあけたとき、あまりにもちいさなウナギのきれはしに
「アッ!」とおもわず声をあげたという。
50円のうな丼だと、覚悟していながら、
それでも おどろいてしまった残念な気もちが
「アッ!」にあらわれている。
みている側は、わらっては失礼だけど、でもすごくおかしい。
山田さんは、わらいの原点が、この「アッ!」にあるのでは、
とかかれていた。
わたしもまた、「アッ!」と声をあげたとおもう。
それくらいちいさなお弁当箱だった。
アルマイトのお弁当箱に、わたしのすきなおかず、
たまごやき・ソーセージ・塩シャケなどをぎっしりとつめ、
これこそが日本のただしいお弁当なのだと
ブログで紹介しようとおもっていたのに。
くやしいので、ほんもののドカベンをさがすことにする。
どっしりと、実力のあるドカベンに、
ただしいお弁当をつめて ほくそえむのだ。