「web本の雑誌」にあるわたしのすきなコンテンツ「作家の読書道」で、
澤村凛さんがとりあげられている。
http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi156_sawamura/index.html
わたしは澤村さんの本をよんでいないけれど、
インタビューによると、共通点がいくつかあった。
・家に子供向けの、赤い箱に入った世界文学全集があり、
そのなかにおさめられている『偉大なる王(ワン)』がすきだった
・松江でくらした経験がある
・松江にあった今井書店でアーサー・ヘイリーを買って読みまくった
・文章をかく参考に、本多勝一さんの『日本語の作文技術』をよんだ
・『大脱走』と『二十日鼠と人間』がすき
もちろん共通点がいくつあろうと
その後の経歴がかさなるわけではない。
わたしの体験は、ただ「よんだ」だったり「すき」くらいにすぎないけど、
澤村さんはたかい集中力で これらの体験を自分の血や肉にしてきたのだろう。
その後グァテマラでホームステイをしながらスペイン語をまなび、
これもまた自分のものにされている。
とはいえ、これだけの共通点に気づくと澤村さんの本をよんでみたくなった。
いまも松江にすむものとして、
「松江にいた頃に恵まれていたのは、
家の近所に郊外型の大きな本屋さんがあったことです。
そのお店の品ぞろえがとても良かった」
と近所の本屋さんを評価してもらえるのは、自分のことのようにほこらしい。
澤村さんの記憶によると「郊外型の大きな本屋さん」となっているが、
この本屋さん(今井書店)は、そうおおきなお店ではない。
大切なのは、お店の規模ではなく、
よい本をおさえることなのだ。
うり場のひろさがかぎられているので、
それだけ品ぞろえに工夫がもとめられるともいえる。
あたりまえにかよっていたお店が、
全国的にみてじつはたかいレベルにあるなんて、
どんな分野でもうれしいものだ。
そうした環境のすべてが、すぐれた人物がそだつ土壌となるだろう。
鷹の爪の吉田くんが連発する「島根県」や、
サイトでときどき目にする「松江」の文字に
こうしてすぐ反応してしまうのはわたしなりの郷土愛なのか。
むかしむかし、日本の辺境とよばれる土地に、
たかい文化をもつ民族がひっそりくらしていました、
なんてイメージを、松江がどんどんたかめていけたらいいけど。