『本の雑誌 3月号』の特集は「本を処分する100の方法!」
わたし程度の本ずきには、想像をぜっすることだけど、
本はある一線をこえたとたん 凶暴な性格をみせはじめ、
ひとのコントロールがおよばなくなる。
本の雑誌社の杉江さんは、1万冊がひとつの線ではないかと
なにかにかいていた。
わたしの家にあるのはおそらく2000冊くらいで、
この5倍あるとたしかにたいへんだろう。
たいへんというか、生活空間としての家が
本来の機能をうしなって、本のおき場所になってしまう。
おそろしいことに、たくさんの本は仲間をつれてくるようになり、
1万冊をこえたあとは一気にいきおいがついて
部屋や家をのみこんでいく。
たまってこまるのなら、古本屋さんにうったり、
フリーマーケットにだせばいいじゃないか、
なんて、悠長なことをいえる段階ではない。
『本の雑誌 3月号』の「本を処分する100の方法!」は、
そうした問題についての特集であり、
一般人むけではないけど、極端な例はなんにしてもおもしろい。
日下三蔵氏が本を処分するという情報に、
古本業者3名と、本の雑誌社3名プラスカメラマンが
日下氏宅をおとずれた記録だ。
写真で日下氏の書庫をみると、
本の山がなだれをおこし、まるでゲレンデみたいだ。
「足のふみ場もない」どころか、まったく部屋にはいりこめない。
日下氏は、自宅の1階すべてと、別宅の3LDKのマンション全室を書庫にあてており、
それでも「本の山脈」におびやかされている。
推定蔵書数はおよそ8万部になるらしい。
なんでまたそんなにかうの?というのが
ふつうの感覚だけど、
そんなのが通用する世界ではないのだ。
ものすごい量と、あちこちにあるお宝本に、
作業はなかなかはかどらない。
小野「いずれにしろ作業ができる状況じゃないですね」
日下「どういう手順でやればいいか、
小野さんに全体像を把握してもらわないと」
浜本「本日は見学のみですね」
日下「じゃあ、マンションのほうに行きましょう」
けっきょく自宅のほうは手をだせない状態なのがわかり、
それではマンションへと、車をだそうとしたら、
車の座席全部に本やCDが山ほどつんであり、
シャコタン状態になっていたそうだ。
本をつむには まずそこの本をださなければならない。
けっきょくこの日は227冊がかいとられただけにとどまる。
それでも10万7000円になり、
「下駄箱の本を全部売っていただければ
プラス25万円くらいには」(古本業者)
というから、全体ではほんとうに宝の山なのだろう。
ただし、「砂漠で針をさがす」ほどではないにしても、
かなりの時間と労力をかけないと、お宝はすがたをみせてくれない。
大森望・茶木則雄・吉田伸子各氏による
「本を処分する100の方法を考える!」座談会では、
2つの重大な法則が確認されている。
・本当にやろうと思ったら人に任せるしかない
・すてられないのが問題なのだから、
処分するときの罪悪感をなくす方法をかんがえる
(神社でおかざりをもやすみたいに)
たしかに、自分の本はすてられないから
どうしても必要以上にたまってしまうのだ。
ある一線をこえないまえに、
なんとかする方法を自分なりにつくりあげないと、
さきのばしすればするほど、どうにもならなくなる。
「たもかく本の街」という企画も、ちょろっとはなしにのぼる。
http://www.tamokaku.com/page.php?i=system
「本やCDを定価の10%で評価、1750円につき只見の森1坪 と交換」
というしくみなのだそうだ。
これだけではなんのことかわからないけど、
とにかく罪悪感なしに本を処分できる点はおすすめだ。