2015年04月10日

『ただ走る哲学者 海外マラソン9連戦始末記』(原章二)気がるに参加できる海外のレースがうらやましい

『ただ走る哲学者 海外マラソン9連戦始末記』(原章二・平凡社)

この本は、『マラソン100回の知恵』の著者が、
なぜはしるようになったのかをふりかえっている。
そして、タイトルにもあるように、
海外で参加した9つのレースの紹介だ。

『マラソン100回の知恵』は、
100回もマラソンに参加した経験から、
どんな練習にとりくめば、マラソンが完走でき、4時間をきれるようになるか、
そして、さらにそのさきにすすむべき道までもがしめされていた。
今回のこの本は、『マラソン100回の知恵』よりも10年まえに出版されており、
原さんがはしりはじめたころをまとめたものだ。
原さんは、どのようにして市民ランナーの道をあゆみはじめたのか。

原さんは、フルマラソンのデビューをぶじにはたし、
でもちゃんと故障も経験し、
はしることのたのしさとむつかしさをかんじるようになる。
そうした、いわばいちにんまえの市民ランナーとしてスタートをきったころ、
原さんは仕事さきの大学で、半年間の研究休暇をとれることになった。
せかっくだから、外国のマラソン文化を体験してまわろうと、
原さんはおもな滞在さきにカナダのモントリオールをえらぶ。
この本は、休暇のあいまに半年間で6カ国・9つのレース
(フルマラソン7回・ハーフ1回・10キロレース1回)
に参加した記録である。
そして、おおくのレースに参加するうちに、
ひとはなぜはしるのかについて、
原さんはあるこたえにたどりつく。

原さんがはしりはじめたのは、よくあるはなしで
中年期をむかえたときに、生活習慣病の症状があらわれたからだ。
痛風・胆石・高血圧と、40代はんばで
10年間にわたる美食のツケがまわってきた。
体調がくずれ、酒や料理がおいしくなくなる。
これからもうまい酒、たくさんの料理をあきらめたくなかった原さんは、
もうはしるしかない状態だった。
練習しはじめたころは、息がすぐにあがって
30メートルもはしれなかったという。
それが、フルマラソンで3時間40分まで復活したのだから
(原さんは元陸上部で中距離専門)、
ランニングとの再会が、ギリギリまにあったというべきだろう。

こうやって、いくつもの海外レースを紹介されると、
コースのうつくしさや大会運営がうらやましくなってくる。
たとえば、海外レースは当日でも参加をうけつけてくれる大会がおおいそうで、
それだけはしることが ひとびとの日常となっているのがわかる。
日本だと、当日どころか、数ヶ月まえでも
参加がすぐにしめきられてしまう。
レースの数がすくないことと、立派な選手名簿をつくり、
しっかりした大会運営をめざしたりするからだろう。
参加するほうからしたら、どんな立派なレースよりも、
ささやかでもいいから参加できるレースのほうがありがたい。

また、原さんが参加したレースは、
どのコースもうつくしい景色のなかをはしれたようで、
わたしが毎年参加しているレースの単調さをおもうと すごくうらやましい。
田舎みちで、田んぼや川をながめながらはしるのは、
都会のひとにはめずらしいかもしれないが、
わたしにとってはあまりにもみなれた景色で 目あたらしさがない。
はしるだけでも気もちがいいような大会に、
ぜひ参加したいものだ。

ゴールしたあとのパスタパーティーもたのしそうだ。
レースのあとはともかく、レースまえの夜でも 原さんはしっかりワインをのみ、
土地の料理をあじわっている。
じょうぶな胃腸がうらやましいけど、
もっとも、だからこそ原さんは生活習慣病になるくらい
のみすぎ・たべすぎてしまったわけだけど。

原さんがいわれるように、
マラソンレースは世界中でおこなわれており、
気がるに参加できる大会もおおい。
何ヶ月もまえからひとつの大会にむけて調整しなくても、
旅行にいったついでに土地のレースをしらべるだけで、
かんたんに出場できそうだ。
トラベル&ランは、とくに気合をいれなくても
だれにでもひらかれている。
とにかく旅行にでかけてしまうことが肝心だ。

「ケベックシティマラソン」では、名誉会長による挨拶があったそうだ。
名誉職の挨拶は迷惑なことがおおいけど、
このかたのはなしはすばらしい。
関係者の努力を讃え、第一回ケベックマラソンの「歴史的意義」に触れ、その末永き将来を祈り、ランナーを鼓舞しつつ、マイペースを勧めるという、簡にして要を得た、そして情の籠もったものだった。

こんな挨拶をきけるなら、
参加したかいがあるというものだ。

わたしはまだタイのチェンマイマラソンしかはしったことがない。
つぎの旅行では、観光だけでなく、土地のレースについてもしらべてみたい。

posted by カルピス at 15:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする