2015年04月11日

『ナリワイをつくる』(伊藤洋志)これからはこの方針でやっていこう

『ナリワイをつくる』(伊藤洋志・東京書籍)

ナリワイとはなにか。
 個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事を「ナリワイ」(生業)と呼ぶ。
 これからの時代は、ひとりがナリワイを3個以上持っていると面白い。
はたらくというと、どこかの会社に就職するか、
なにかひとつの仕事を専門にやっていくかたちがおおいけれど、
それとはべつの生き方もある、というのが伊藤さんの提案だ。
なんだかいまの生活がくるしいなー、というひとは、
なにがなんでも会社につとめることだけが生きていく方法ではないと、
こうやって実例をしめされたら気がらくになるだろう。

「ナリワイ」というと、サービスを提供するのだから、
完全なかたちで相手に手わたしたいと ついかんがえてしまいがちだ。
しかし、この本ではあまり完成度をめざさないし、
相手にもサービスに依存しすぎない関係をもとめる。
もちろんぜんぜん仕事になってないようではダメだけど、
あるていど訓練したら、あんがいできることはおおい。
家をつくることも、床をはりかえるのも、
むかしは特殊技能ではなかった。
キーワードは「コツを覚えて特訓すれば人間たいていのことはできる!」だ。専門家という既得権益者の前にひるんじゃいけない。

この本でいう「ナリワイ」は、あまり専門的である必要はなく、
生活にむすびつき、必要にせまられた仕事
(草かりでも結婚式プランナーでも、家の床はりでも)を
いくつもくみあわせてくらしていくやり方だ。
3万円程度の「ナリワイ」をいくつかもち、支出をおさえれば
じゅうぶんにくらしていけるという。

田舎ぐらしはひとづきあいがむつかしいとか、
農業をはじめるには300万円なければとか、
いろいろなことをおもいこまされてきたけれど、
じっさいに現場にたってからだをうごかせば
あんがい仕事をみつけられるという。
もちろん田舎でなくたって、都会でもそうした生き方はできる。
ふつうに会社ではたらけば500万円もらえるこのご時世に、
「ナリワイ」でやっていこうとするひとは
まだそんなにおおくないから、
「そこには手付かずで広大なフロンティアがひろがっている」らしい。

この本には、どんなふうにナリワイをみつけたらいいのか、とか、
じっさいにナリワイをはじめるときのコツなどの
ノウハウについてもかかれている。
とはいえ、こまかいマニュアルではなくて、
基本となるかんがえ方をうちだしたもので、
こんなに楽でたのしいなら、
ぜひ自分でもやってみようという気になってくる。
会社につとめるいっけん安定したくらしも、
かんがえ方によってはリスクがたかい。
病気になるほどはたらくのは論外としても、
老後までの保障を会社や社会にもとめていると、
自分の人生をかなりの程度きりうりすることになる。
会社づとめがなんだかあわないとかんじるひとは、サブタイトルにある
「人生を盗まれない働き方」を、
すこしかんがえてもいいかもしれない。
ナリワイの考え方の真髄の一つは、稼がなきゃ稼がなきゃと外部の環境に振り回されるより、自分の生活をつくる能力を磨き、それをちょっと仕事にしてしまうほうが確実ではないか、ということなのである。

わたしはずっとまえからこういうくらし方に関心をむけていた。
支出をおさえるとか、1年間お金をつかわないで生きるとか、
すくないもちものだけでやっていくはなしがだいすきだ。
電気をつかわない生活にも興味がある。きっとケチなのだろう。
この本は、まさにそうした方針を全部ひっくるめたようなもので、
まさにわたしのためにかかれた本のような気がする。
わたしの弱点は社会性がないことなので、
そんな人間にも無理なくできるナリワイをつくっていこう。

posted by カルピス at 20:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする