東京にすむ姉夫婦が家をたてかえたので、
母のつきそいとして いっしょを新居をたずねる。
無事に母を姉の家にとどけ、フリーとなったわたしは
高田馬場へ古本屋まわりにでかけた。
早稲田どおりの両側に たくさんの古本屋さんがならんでおり、
まえになんどかいって、どっさりかいこんだことがある。
東京ゆきがきまったときから、
高田馬場での古本屋めぐりをたのしみにしていた。
でも、残念ながら日曜日はやすみの店がおおく、
ほとんどの店がしまっている。
「軒なみ」という表現が すごくぴったりくる景色だ。
1時間かけ高田馬場まできたのに、ただの散歩になってしまった。
1軒あいている店があったので、お店のおじさんに
「古本屋さんは日曜日がやすみなんですね」とたずねる。
このあたりの店は、日曜をやすみにしているのだそうだ。
「神田はどうですか?」ときくと、
最近はいくつかひらいている店があるけど、
基本的には日曜日がやすみだという。
あいていたそのお店は、2冊で100円のワゴンがあったし、
どの棚もよく整理されていて、古本屋めぐりのたのしさを
すこしだけでも味あわせてくれた。
駅のちかくに「ふるほん横丁」というのがあって、
そこは日曜日もやっていると、おじさんが親切におしえてくれる。
たずねてみると、そこは 本屋さんがビルにはいっており、
そのなかの一角が古本コーナーだ。
かわっているとはいえ、わたしのこのみの本はあまりおいてなかった。
せっかく高田馬場まできたのだから、
古本屋めぐりが からふりにおわったからといって
そのままではかえりたくない。
たまたまみかけた映画館「早稲田松竹」にはいることにする。
『誰よりも狙われた男』と『ゴーン・ガール』の2本だてだ。
2本だてというのがなつかしいし、
映画館の雰囲気がシネコンとはちがいむかしふうで、
お客さんはわかいひとから年配の方まで 幅ひろい年代にわたる。
映画ずきなひとに愛されている映画館、というかんじがした。
ざっくりとした作品の感想をいうと、
『誰よりも狙われた男』のギュンターさんは
タバコのすいすぎ、ウィスキーののみすぎ、
ふとりすぎ、ストレスをかかえすぎだ。
でも、どうも仕事は一生懸命やったほうが 充実感があるのかも、
という気にさせられる。
『ゴーン・ガール』は カジュアルな たのしい雰囲気でスタートしながら、
だんだんとこわいはなしになっていく。
結婚している男性なら、おおかれすくなかれ
ニックとおなじような うしろめたさをかかえているのではないか。
サイコパスでもホラーでもないけど、
背筋がさむくなるようなおそろしさ。
エイミーは、とてもチャーミングな女性で、
はじめは彼女にかたいれしてみていると・・・。
女性のおそろしさは、男の理解をはるかにこえる。
なぜだか松田聖子さんがあたまにうかんでならなかった。
わたしもう どんな女性のニッコリ笑顔も、
そのまま素直にはうけいれられない。