デイリーポータルZで
「パスタ丼という幸せな選択のススメ」(地主恵介)という記事をみかけた。
http://portal.nifty.com/kiji/120322154455_1.htm
「よりぬきデイリーポータルZ」のひとつとしてあつかわれているので、
きっと人気があったのだろう。
副題は「カロリーの味がする」。
記事の趣旨は、
・どんぶりものは、なにをたべてもおいしい
・パスタも、もちろんおいしい
・だから、ごはんにパスタをのっけたパスタ丼もとうぜんおいしいはずだ
という、いわゆる三段論法で3つの命題がつみあげられている。
たしかに、ごはんにパスタをのっけたものが、
おいしくないはずがない。
そうしたいっけん雑にみえる料理がわたしはだいすきだ。
記事の主張に、全面的に賛同するものである。
記事によると、実験の結果、
あらゆるパスタがごはんとの相性のよさを証明したという。
ミートソース丼も、カルボナーラ丼も、ペペロンチーノ丼も、和風スープスパ丼も、イカスミパスタ丼も、どれもみごとにおいしい。
ふつうにおいしい、という域ではなく、
「のけ反る美味しさ!そして感じる幸せ」だったそうで、
記事をかいた地主恵介さんの表情は、
どの写真でも とびっきりの笑顔だ。
もともと関西や四国では、あたりまえに炭水化物をおかずにして ごはんをたべる。
炭水化物と炭水化物のくみあわせが強力なのは、
ラーメンライスやうどん定食、おこのみやきごはん、
さらにはソバメシなどであきらかであり、
今回の実験で、そこにパスタもくわわったことになる。
わたしはたべたことがないが、
エジブトには「コジャリ」というどんぶり料理があると、
『バックパッカーパラダイス』(斉藤夫婦)に報告されている。
お赤飯のうえにマカロニかスパゲッティのきれはしをのせ、
そこにトマトソースがかかっているというから、
これはもう、りっぱなパスタ丼といってよい。
コジャリを再現しようと、家でトマトソースがあまったときは、
ごはんのうえにかけてたべるので、
パスタ丼のおいしさを、わたしはよくしっている。
オリーブオイルをたっぷりつかい、
ギトギトのトマトソースにしあげたほうが
ごはんの淡白さとよくあうみたいだ。
いまは糖質制限がはやり、
ごはんやうどんをたべているやつはバカだ、みたいに、
炭水化物につめたい視線がそそがれることがおおい。
まちがっていると、わたしはおもう。
けっきょくおおくのひとが、
炭水化物のもとにかえってくることになるだろう。
この記事がかかれた2012年には、
糖質制限というかんがえ方は、ほとんどしられていなかった。
それだけに、炭水化物+炭水化物という
ふつうのおもしろさにうもれてしまったのは残念だ。
いま まさに、われわれはパスタ丼による高炭水化物、高カロリーを
必要としているのではないだろうか。
日本人のからだには、炭水化物への郷愁がしみついている。
このパスタ丼は、ひとつの強力なバリエーションとして
日本食の幅をゆたかにひろげてくれるはずだ。