2015年09月14日

『バーナード嬢曰く。2』(施川ユウキ)

『バーナード嬢曰く。2』(施川ユウキ・一迅社)

ついこのまえ1巻目をブログにかいたばかりなのに、
すぐに2巻目をとりあげるのはいかがなものか。
でも、こだしにする このせこさこそ、
バーナード嬢的メンドくさい精神である。

『バーナード嬢曰く。』第2巻の主役は神林さんだ。
あいかわらずバーナード嬢こと町田さわ子さんにきびしくつっこみ、
とくいのグリグリをきめるけど、
はなしがすすむにつれ、
神林さんのかたい表情がしだいにゆるみ、
他人をうけいれられなかったこころもほぐされていく。
この変化をひきおこしたのは、
もちろんバーナード嬢だ。
『さまぁ〜ずの悲しいダジャレ』が最高なんだと
あつくかたるバーナード嬢に、

「見栄とか関係なく
 好きなモノを純粋に好きって言えるのは
 素晴らしいな・・・」

とつぶやくあたりから、神林さんに変化がみられる。

「ダサッ!」
「マニア メンドくさっ!」
など、オタクにみられるのを警戒し、
つきはなした態度をとる神林さんは、
だけどいちばんおたくっぽい。
その神林さんが、
「笑顔のみかん。
 『怒りの葡萄』の対義語だよ!」
というバーナード嬢からのメッセージにおもわずふきだした。
窓ガラスにうつる、開放されたやわらかな自分の表情に
神林さんはおどろいている。

圧巻は、水嶋ヒロの『KAGEROU』への共感だ。
「・・・本当に大したことなかったよ」
といったんはきりすてながら、
神林さんはこの本を5回よみかえしたという。
私にはわかる!
著者は・・・水嶋ヒロは!
書き上げたときの万能感と
読み返したときの無力感の間で大きく揺れながら
不安で不安でたまらなかったはずだって!!
だって「KAGEROU」は・・・
必死に背伸びする高校生のように
どこまでも不器用でひたむきな小説なのだから!!!
・・・胸をかきむしりたくなるような共感を覚えた小説は
久しぶりだったよ

ろくでもないタレント本だろうと、
よみもしないのにわたしはきめつけていた。
こうしたみくだしが、かたくまずしい読書をまねいてしまう。
本がすきなのであれば、神林さんのような公平な姿勢こそを
大切にしたい。

なんだかひじょうにまじめな本を紹介したようになったけど、
もちろんこの本は「読書に憧れるけど読書がメンドくさい」
わたしをふくむおおくの なんちゃって本ずきを みすてたりしない。
どうしたらかっこよく本をよんでいるようにみえるかに、
バーナード嬢はずっとアンテナをはり、
効果的なテクニックをおしえてくれる。
そうしたやわらかな一面とともに、本書のコンセプトは
オビにかかれた「もっと読書に自由を!」にしめされている。
どんな本を、どのようによんでもいい。
よめなかったら、本のまわりにいるだけでもいい。
ダサくても、メンドくさい人間とおもわれてもかまわないから
自由な精神で本とむきあっていく。
読書はそれだけすばらしい体験なのだと この本はさそってくれる。

本書では、
木村元彦『オシムの言葉』・カズオ=イシグロ『わたしを離さないで』
カミュ『異邦人』・コーマック=マッカーシー『ザ・ロード』
など、わたしのすきな本が つぎつぎにとりあげられている。
『バーナード嬢曰く。』とわたしは、
であうべくして であったようだ。
こんなマンガがわたしはよみたかった。
わかい世代ならではのひたむきな姿勢で
本とかかわる4人の体験を、
これからもたのしみにしている。

posted by カルピス at 20:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする