2015年10月01日

「音楽遊覧飛行」にでてきた『パルプ・フィクション』のハンバーガー

運転中にラジオで「音楽遊覧飛行」をきく。
今週は、吉村喜彦さんの「食と音楽で巡る地球の旅」で、
テーマは「魂の食べもの」。
アメリカのソウルフードといえばなんといってもハンバーガー。
ハンバーガーが印象的な作品にクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』があります。
殺し屋が、これから仕事をする相手のまえで ハンバーガーのうんちくをかたる。
ものすごく緊張する場面なのに、妙にハンバーガーがおいしそうでした・・・。

というから当然『パルプ・フィクション』からの曲かとおもったら、
「ぼくも9月の空のしたでハンバーガーをたべたくなってきました」
と吉村さんはつづけ、かけた曲は
アース・ウィンド&ファイアーの「セプテンバー」だった。
この番組は、いろいろな国をとりあげながら、
じっさいにかける曲はあんまり関係ないことがおおい。
その国の出身者による演奏だったらまだいいほうで、
「セプテンバー」みたいにめちゃくちゃなこじつけもある。
きいているほうは、土地にまつわる
吉村さんのおしゃべりがたのしいのだから、
なんだっていいようなものだけど、
今回ばかりはガクッとひざをおられた。

『パルプ・フィクション』に わたしはしびれた。
ふつう映画のなかで暴力をあつかうと、
おっかない顔の人物が、深刻ぶって相手にむかうけど、
『パルプ・フィクション』では
日常のなかに カジュアルな形で暴力がある。
吉村さんがはなしている場面は たしかに印象的だ。
目のまえにせまった仕事とは、
まったく関係ないはなしをしながら
かんぜんにリラックスしてチンピラの部屋をたずねる。
くだらないはなしをして緊張をごまかしてるのではない。
彼らのなかでは どうでもいいおしゃべりと これからの仕事が
まったくおなじおもみであつかわれている。
チンピラの部屋にはいってもムダ口がつづく。
どこまで本気で、どこからが冗談なのかわからない。

わたしがすきなのは、マフィアといえども
ちゃんと常識をわきまえているところだ。
人質にピストルをちらつかせてるとき、
うっかりひきがねをひいて
車のなかが脳みそでぐちゃぐちゃになる。
こまったふたりがしりあいの家にとりあえずかけこむ。
やばい仕事をさんざんやってきたふたりにたいし、
一般市民役のタランティーノが
「だれが死体をもちこんでくれってたのんだ?」と
つよ気で対応し、ふたりは「わるかった」とうなだれている。
殺し屋にたいし、やさ男のタランティーノが
社会的な常識でせまるのがおしゃれだ。
うっかりひきがねをひかれたほうは たまらないけど。

『パルプ・フィクション』にはハンバーガーがよくでてくる。
トラボルタはパリのマクドナルドについて熱心にはなしていた。
「ル・ビッグマック」って ほんとうだろうか。
吉村さんがいわれた冒頭のシーンでは、
サミュエル=L=ジャクソンすごくまずそうにたべて
スプライトでながしこむ。
あの場面をみてハンバーガーがほしくなったりしないので、
吉村さんはあえてべつの曲をえらんだのかもしれない。
トラボルタとユマ=サーマンが レストランでダンスしたときも
ハンバーガーを注文していた。
「セプテンバー」をかけるよりは
あのときのダンスミュージックにしてくれたらよかったのに。

posted by カルピス at 14:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする