そんなことでもなかったら、マンガにうといわたしは
絶対にこの作品をみなかっただろう。
糸井さんにお礼をいいたい。おもしろかった。
主役の佐藤健と神木隆之介がいいかんじで、
青春映画の王道をいく作品となっている。
若者が主人公で、なにかに熱中するこうしたストーリーには
たいていひきこまれる。
二次元のマンガをうまく映像化してあり、
紙にかいた絵が、立体感のある画像にかえられて、
頭のなかにマンガがはいりこんだみたいだ。
自由自在なうごきとスピードが快感だった。
エンドロールでも、じょうずコミックであそんでいる。
日本のマンガファンだけでなく、
マンガやアニメに熱中する世界じゅうのファンに
この作品はうけいれられるのではないか。
わかいマンガ家たちが、
どんなふうにデビューしていくのかも興味ぶかい。
編集者にきたえられ、
マンガ家をこころざすわかもの同士でライバル心をいだく。
あいつだけにはまけられないと、競争意識をかきたてあう。
なんとかデビューをはたし、
編集長からちからがみとめられると いよいよ連載だ。
そしてこんどは読者からのアンケートをもとに順位をきそう。
わたしには、1位をとるのが
なぜそんなにだいじなのかピンとこないけど、
彼らは順位をあげること、1位になることにこだわっている。
週刊なので、しめきりはすぐにやってくる。
サイコーはやがてつかれはて、病院にかつぎこまれた。
入院してもなお 彼は連載をまもろうとし、
仲間のマンガ家が手つだってくれたり
編集者が協力してくれて、
なんとか巻頭カラーの掲載に間にあわせる。
ジャンプの王道である「友情・努力・勝利」だ。
編集長が「君たちのかちだ」といってたけど、
それですべてがおわるわけじゃない。
つぎのしめきりはすぐにやってくる。
連載がおわるまで、ずっとめちゃくちゃなスケジュールがつづく。
小林まことさんの『青春 少年マガジン』(講談社)に、
『バクマン』とおなじような世界がかかれている。
わかいマンガ家たちが何本も連載をかかえ、
やがてからだをこわしていく。
自分たちではすきなマンガをかいているつもりでも、
連載は非人間的な仕事量を要求する。
出版社につかいすてにされているようなものなのに、
マンガをかくのをやめられない。
3日や4日 寝ないのは当たり前
20時間くらい何も食わないのも当たり前
たばこは呼吸のように1日7箱
缶コーヒーは1日10本以上
締め切りのストレスで胃はボロボロ
逃亡したこと数回・・・
大げさと思うかもしれないが
オレはいつも神様にこうお願いしていた
「神様!!オレはいつ死んでもかまいません
ただ!今週号だけは仕上げさせてください
『バクマン』をおもしろくみながら、
マンガへの情熱は情熱としてみとめつつも、
過酷な連載でからだをこわしていく
わかいマンガ家たちが心配になった。