『チルソクの夏』(佐々部清監督・2004年・日本)
『桐島、部活やめるってよ』で
中学生のときの前田くんとかすみが
話題にしていた作品だ。
下関と釜山との親善陸上大会に出場したのがきっかけとなり、
両国の高校生が交際をはじめる。
七夕みたいに、1年にいちど再会する関係だ。
ハングル語で七夕を「チルソク」ということから、
この作品のタイトルがつけられている。
現代の親善大会から画面はスタートし、
26年まえの1977年に場面がうつり、
さいごはまた現代の大会にもどる。
現代→過去→現代と、よくありがちとはいえ
高校時代をふりかえる作品として
効果的な設定だった。
わたしは高校の部活ものによわい。
『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』、
『がんばっていきまっしょい』など、わかい彼らが
高校のときにしかできないかがやきをみせると
それだけでグッときてしまう。
『チルソクの夏』のキモは、
4人組の女子校生のはじけかただ。
なにかにつけキャーキャーおおさわぎし、
顔じゅうでわらい、やたらととびはねる。
エネルギーにみちあふれているのだ。
彼女たちがからだじゅうから発散するキラキラは
高校生のときにしかだせない。
グランドをはしる彼女たちの姿をみているだけで、
わたしは胸があつくなってくる。
26年がすぎ、ふたたび親善大会にあつまったかつての4人組は、
そこらへんにいそうなフツーのおばさんたちだ。
そんな彼女たちにも、高校生のころには
あんなにキラキラしていたときがあった。
かつて高校生だったいまのおじさん・おばさんには
たまらない作品なのではないか。
2004年の女子高生は、
あんなふうに無邪気ではないかもしれない。
いっしょに「なごり雪」をうたったりしないかもしれない。
でも、この作品はこれでいいんだ。
すばらしい青春映画だ。