2015年11月07日

『チルソクの夏』高校時代だけがもつキラキラ

『チルソクの夏』(佐々部清監督・2004年・日本)

『桐島、部活やめるってよ』で
中学生のときの前田くんとかすみが
話題にしていた作品だ。

下関と釜山との親善陸上大会に出場したのがきっかけとなり、
両国の高校生が交際をはじめる。
七夕みたいに、1年にいちど再会する関係だ。
ハングル語で七夕を「チルソク」ということから、
この作品のタイトルがつけられている。
現代の親善大会から画面はスタートし、
26年まえの1977年に場面がうつり、
さいごはまた現代の大会にもどる。
現代→過去→現代と、よくありがちとはいえ
高校時代をふりかえる作品として
効果的な設定だった。

わたしは高校の部活ものによわい。
『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』、
『がんばっていきまっしょい』など、わかい彼らが
高校のときにしかできないかがやきをみせると
それだけでグッときてしまう。
『チルソクの夏』のキモは、
4人組の女子校生のはじけかただ。
なにかにつけキャーキャーおおさわぎし、
顔じゅうでわらい、やたらととびはねる。
エネルギーにみちあふれているのだ。
彼女たちがからだじゅうから発散するキラキラは
高校生のときにしかだせない。
グランドをはしる彼女たちの姿をみているだけで、
わたしは胸があつくなってくる。

26年がすぎ、ふたたび親善大会にあつまったかつての4人組は、
そこらへんにいそうなフツーのおばさんたちだ。
そんな彼女たちにも、高校生のころには
あんなにキラキラしていたときがあった。
かつて高校生だったいまのおじさん・おばさんには
たまらない作品なのではないか。

2004年の女子高生は、
あんなふうに無邪気ではないかもしれない。
いっしょに「なごり雪」をうたったりしないかもしれない。
でも、この作品はこれでいいんだ。
すばらしい青春映画だ。

posted by カルピス at 11:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする