2015年11月22日

『ブルーバレンタイン』

『ブルーバレンタイン』
(デレク=シアンフランス:監督・2010年・アメリカ)

ふた組のカップルが交互にえがかれる。
いっぽうは倦怠期なのか、おたがいの気もちがかみあわない。
おさないむすめが かすがいとなり、
なんとかいっしょにくらしている。
もういっぽうは、もうすこしわかいカップルで、
であいから結婚までの ういういしい時期をとりあげてある。
肩書よりも愛情が大切にされ、
しっかりした信頼関係でむすばれていく。

わかいカップルにくらべると、倦怠期の男性のほうは
相手のことをかんがえないサイテーなヤツにみえる。
まるでDVのようにパートナーを拘束し、
自分の気もちだけをまくしたてる。
すぐあやまるくせに まったくこりておらず、
自分のいいぶんを大声でくりかえすだけ。
すずしい顔でいいつのるところがにくたらしい。

おまえ、すこしはもういっぽうの男をみならえよ。
あっちはパートナーに誠実で、
自分にも自信をもってるぞ。

ところが、おどろいたことに、
このふた組はおなじカップルだった。
現在のふたりと、7年まえにであったころの姿だ。
ふつうにみていたら、すぐにわかりそうなのに、
なかなか気づかないわたしがどうかしている。
でも、それほどこのふた組は みるかげもなく、
いぜんとは かけはなれた状態だ。
おなじふたりが、ここまで形をかえてしまうとは。

男性のほうは なんとかまえとおなじ関係にもどりたそうだけど、
女性のほうは もはや生理的に相手をうけいれられない。
どうしてこんな関係にまで なってしまったのか。
とらえ方により、男がわるいようにも、
女性のほうに問題があるようにもみえる。
かわらない男性がわるのかもしれないし、
ないものねだりをする女性がムチャにもおもえる。
だんだんとわたしは身につまされていく。
パートナーから拒絶され、さみしそうにさる男性が
ひとごとにおもえなくなる。

パートナーに絶望する女性のふるまいがすさまじい。
もうあなたとはやっていけないと、
からだじゅうからマイナスのサインがでている。
7年まえは、あんなにすてきな笑顔で
あいてをうけいれていたのに。
これが演技とは とてもおもえない。
あまりにもひどいふたりのようでいて、
どこにでもありがちな関係ともいえる。
むねのふかいところがざわついてくる
おそろしい作品だ。

サイトでは、いくつもの記事が
「夫婦でみるな」とアドバイスしている。
おおくのひとがこの作品に
なんらかの危険なにおいをかんじるのだろう。
わたしの配偶者は、
きっとひとりでさきにみてしまったんだ。

posted by カルピス at 10:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする