2015年12月01日

『TAIZO〜戦場カメラマン・一ノ瀬泰造の真実〜』

『TAIZO〜戦場カメラマン・一ノ瀬泰造の真実〜』
(中島多圭子:監督・2003年・日本)

1973年にカンボジアでなくなった
戦場カメラマン・一ノ瀬泰造についてのドキュメンタリー。
泰造さんはクメール=ルージュが占領するアンコールワットへ
危険をしりながら潜入し、26歳のわかさで消息をたった。

わかさにあふれた行動力で戦場をかけめぐり、
納得のいく写真をとろうとした
泰造さんのふとく みじかい人生。
この作品は、泰造さんをしる現地のひとや
関係者、なによりも両親へのインタビューにより、
彼がなにをやりたかったかに せまろうとしている。

泰造さんについては
書簡集『地雷を踏んだらサヨウナラ』が出版されているし、
映画も『泰造』と『地雷を踏んだらサヨウナラ』の2本が
すでにつくられている。
3本目の映画となるこの作品に、
とくに目あたらしい「真実」はない。
泰造さんの行動とともに、
のこされた親の気もちに 焦点をあてたつくりとなった。
80歳をすぎてもなお、むすこがのこしたネガを
やきつづける母親のすがたがいたましい。

わたしがはじめて泰造さんの本にであったとき、
危険をかえりみない情熱的な生き方に圧倒されてしまった。
じっとしておれなくて、
はじめての外国旅行を計画したりする。
当時はまだカンボジアとベトナムに 個人でははいれず、
いちばんちかい タイで満足するしかなかった。

泰造さんは、アンコールワットへの撮影をこころみるまえに、
いちど日本にもどっている。
たまたま姉の結婚式の 3日まえだったにもかかわらず、
式には参加せず、またカンボジアへと旅だった。
なにか気もちにくぎりをつけたかったのだろう。
そのみじかい滞在が、さいごに両親とすごした時間となる。
好きな仕事に命を賭けるシアワセな息子が死んでも悲しむことはないよ、母さん

しかし、母親はまだ泰造とともに生きている。

posted by カルピス at 15:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする