NHKの『スポーツイノベーション』で
データーテクノロジーをとりいれた選手強化について つたえていた。
ラグビーWカップで日本が南アフリカをたおしたのは、
ビッグデーターによる分析をいかしたものだし、
サッカーでもいまやデーターテクノロジーが
絶大な効果をあげているという。
すこしまえからトラッキング技術として、
選手が試合中にどれだけはしったとか、
時速◯キロ以上のダッシュを
なんどくりかえしたかが紹介されるようになった。
すごい時代になったものだと感心していたのに、
もはやそんなデーターは牧歌的にさえみえる。
最先端でとりいれられているデーターテクノロジーでは、
試合ちゅうのチームメイトや相手選手のうごきを瞬時に測定し、
選手ひとりひとりの特徴や弱点、くせなど、
あらゆるうごきが数値化され、分析されている。
むかしから、選手が個人的にあつめた「データー」を試合にいかすのは
頭脳的なプレーとして評価されてきたけれど、
いまのビッグデーターはその精度と規模において
レベルがまるでちがう。
ドイツ・ブンデスリーガのホッフェンハイムは
9部リーグで低迷するチームだったところを、
データーテクノロジーの導入により 1部リーグまでのぼりつめている。
そしていまやドイツサッカー界が
データーテクノロジーを全面的にとりいれて
選手強化にあたるまでになった。
Wカップブラジル大会で、ドイツがブラジルを7-1という
驚異的なつよさでやぶったのも、
データーテクノロジーの恩恵によるそうだ。
つよくなればそれだけお金になるのだから、
ラグビーとサッカーにとどまらず、あらゆるスポーツで
データーテクノロジーによる戦略がねられているのだろう。
あつめる情報はますます精緻をきわめ、
ありとあらゆるうごきが分析され、
チームへ提供するビジネスがなりたつ。
監督やスタッフは、どれだけその情報をいかせるかがとわれる。
このうごきは とうぶんおさまりそうにない。
問題は、それをおもしろいとおもえるかどうかだ。
じっさいに試合をする選手たちは、
データーをおいかける試合や練習にさらされて、
それをどうお腹におさめていくのだろう。
サポーターたちは、みえないところですすめられる こうした選手強化を
納得して応援しつづけられるのか。
つよくなったさきに、なにがまっているのか。
データーを重視しすぎたトレーニングが、
試合をつまらなくなるとだれもがみとめるようになれば、
あるレベル以上の情報をあつめてはならないと、
規制されるようになるかもしれない。
しかし、それはまださきのはなしだ。
かつことがスポーツの目的なのだから、
しばらくはとことんデーターテクノロジーをとりいれた
選手強化がつづくだろう。
わたしはどうもこうしたうごきになじめないので、
ビッグデーターなんかにたよらないチームを このましくおもう。
だめなチームがガッツではいあがるはなしにひかれる
典型的にふるいタイプの人間だ。
データーにまったくたよらないチームづくりなど
いまの時代に じっさいには ありえないけれど、
あまりにも度をすぎると
「あそび」や「社交」の精神からとおくなってしまう。
元日本代表監督のオシムさんは、
こうしたながれをあまりおもしろいとおもわないだろうし、
予測できないうごきに魅力があったジダン選手なら
鼻でわらってとりあわないような気がする。
はじまったばかりのデーターテクノロジーは、
これからしばらくスポーツ界の主流となるだろう。
日本代表が南アフリカにかったのはうれしかったけど、
その舞台裏をしると、もうこれぐらいの段階でとめてほしくなった。