クリスマスイブ。
クリスマスとお正月がにがてなわたしには、
しばらくたのしくない日がつづく。
冬やすみに外国旅行にでかけるひとは、
この時期でないと やすみがとれないという理由のほかに、
正月を日本ですごさないほうが 楽だからではないか。
きょねんのいまごろはラオスを旅行していた。
町の雰囲気がちっともクリスマスでないし、
そもそも夏みたいなあたたかさだから
クリスマスをぜんぜんかんじない。
元旦はタイのチェンライにいた。
こちらは新年をおいわいするイベントもあったけど、
日本のクリスマスみたいに
とってつけたようなもよおしで、
町の雰囲気としては、たいして「お正月」でない。
そのせいか、すごく気らくにすごせた。
「サワディーピーマイ」(新年おめでとう)と、
こっちからあいさつしたりして、
日本にいなければ わたしはかなり素直でよい人間になる。
お正月を外国ですごすと、年賀状にもなやまされない。
いただいた年賀状には、日本にかえってから
寒中みまいとして かんたんな手紙をかいた。
いつもだと、年賀状にのせる写真をどうしようと、
年末ギリギリになってようやく腰をあげるところだ。
年賀状のないお正月が、こんなに気らくだとはおもわなかった。
ラオスでいちばんおもいでにのこっている
シーパンドンのゲストハウスでは、
年配のギリシャ人ご夫婦といっしょになった。
わたしの会話力では理解できなかったけど、
引退後の年金ぐらしというわけではなく、
それでも毎年こんなふうにアジアの国々を旅行しているのだという。
そりゃギリシャの経済がガタガタになるわけだ、と
とっさにおもったけど、うらやましい。
日中はメコン川をのぞむテラスにねそべって、
タブレットか本をのぞきこみ、
夜になると日をかえて近所のレストラン(というか食堂だけど)で
ながい夕ごはんをとる。まったくうらやましい。
わたしの前世はギリシャ人だったのかもしれない。
ことしはクリスマスとお正月を、
日本でもろにうけとめないといけない。
まずは今夜のイブをどうするか。
来年からむすこが大学へすすむので、
親子そろってのイブはたぶんさいごだろう。
おいわいとして、ほとんど自分のために ボルドーの赤ワインをかった。
お正月は、とくになんのおでかけもかんがえていない。
なにか特別なことをしても、
お正月の魔の手からはのがれなれないのを わたしはしっている。
じたばたしないで 息をひそめ、やりすごすしかない。
あのギリシャ人ご夫婦は、どんな年末をすごしているだろうか。