2016年01月15日

『ぼくがきみを殺すまで』がいつの間にかおわっていた

朝日新聞に連載されていた
あさのあつこさんの『ぼくがきみを殺すまで』が
いつの間にかおわっていた。

ベル・エイドという架空の地域が舞台だ。
ふたつの民族が おたがいの得意な分野をいかして
たすけあいながらくらしていたのに、
いつのまにか対立するようになり、戦争がはじまる。
敵にとらわれた少年「L」が、処刑される夜あけをまつあいだ、
牢屋をみはる敵の兵士と ふるさとのはなしをはじめる。
なんでおれたちの国は、こんなになってしまったんだろうな、と
ふたりはおたがいにたずねあう。

この架空の地域を、
わたしはパレスチナとイスラエルの関係としてよんでいた。
いまの世界では、にたような状況の地域がほかにもあるだろう。
あさのさんは、あんがい日本の未来をみすえて
このものがたりをかいたのかもしれない。
現実の世界が おもわぬスピードでわるくなってゆき、
小説をうちきらざるをえなかったのではないか、
なんてあらぬことまで かんがえてしまった。

最終話は、たしかにひとつのくぎりをつけており、
あそこでおわるより手がなかったのかもしれない。
それにしてもきゅうな結末だった。
お正月があけても、なかなかはじまらないなーとおもっていたら、
まさか 年末でおわっていたなんて。

新聞の連載がおわるときは、
連載をふりかえって、みたいな作者のコメントがあったり、
つぎの連載をうけもつひとが紹介されたりするのに、
今回はそんなうごきに気づかなかった。
新聞の連載としては、異例なおわり方であり、
なにかややこしいはなしがもちあがっていたのでは、と心配する。
かつてのふるさとをおもいおこし、しずかにかたりながら、
なぜこうなってしまったのかを
敵対する陣営にいる わかいふたりはといかけあう。
みじかいけれど、いんしょうにのこる連載だった。
これからの展開が気になっていたので、
きゅうに連載がおわった形が残念だ。
ものがたりのつづきがよみたい。

posted by カルピス at 18:43 | Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする