カロリーメイトのCM「見せてやれ底力」がやばい。
黒板にチョークでかいたアニメーションで、
リアルな絵による高校時代のおもいでが
つぎつぎにおもいおこされる。
BGMは岡本孝子さんの『夢をあきらめないで』とくるから、
おもいっきり青春がつめこまれた120秒で、
とちゅうから胸がざわついてきた。
受験会場で、いよいよ試験がはじまるプレッシャーに
おしつぶされそうになったとき、
仲間たちの手のひらと笑顔が黒板いっぱいにひろがり、
よし、やってやる!と彼女は気もちがふっきれる。
みているわたしは、はげしく胸をゆすぶられ、いよいよやばい。
受験の日の朝、玄関でお母さんが女の子になにかをわたしている。
おまもりか、お弁当?とおもっていたら、
カロリーメイトのCMなので、カロリーメイトだった。
こんなすぐれた作品をみせられると、
ちゃっかり商品をだされても ぜんぜんわるい気はしない。
CMだからあたりまえだし、カロリーメイトが顔をだしたことで、
緊張をといてくれる。
CMにでてくる女の子は、鬼の顔になって
お母さんにきつくあたった日をおもいだしていた。
この年代の子どもたちは、だれもが親のまえで素直になれない
もんもんとした気もちをかかえているのだろう。
CMに胸をあつくしながら、自分の家にも
当事者である高校3年生がいるのをおもいだした。
むすこも彼女のように、
おもいでのつまった3年間をすごしただろうか。
このまえ職場の車で朝のおむかえにでかけたとき、
ちょうど自転車で学校へむかうむすこをみかけた。
しばらくならんではしる。むこうは気づいていない。
たくましくなったなー、とはおもわない。
ひょこひょこペダルをこぐ あの学生がむすこだなんて、
なんだかへんなかんじだ。
声をかけようとおもったけど、いかにもヤボにおもえ やめた。
いまはもう完全に自分の世界でくらしており、
毎晩かえってくるのが不思議な気さえする。
家や親の存在は、ほとんど意識にないようにみえる。
このCMや、すぐれた本によって、
青春時代がどんな多感な時代かは、
ひとつのジャンルとしてえがかれている。
家での彼らをみると、
そんなゆたかな内面をかかえているとは想像もつかない。
表面からはわからないからこそ、
青春時代をうまくあらわした本や映画に
おとなたちは胸をはげしくゆさぶられる。
カロリーメイトのCMは、受験の朝に、
高校生活をギュッとおしこめた すばらしいアニメーションであり、
青春ものの 名作となるだろう。